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ラグジュアリーブランドの礎となるアート、その拠点を巡る

アーティスティックな感性やヴィジョンを掲げるラグジュアリーブランドにとって、今、現代アートは切り離せない存在となっている。その関係性を象徴するアート財団の存在にクローズアップ。

ラグジュアリーブランドとアートの深い関係は、今に始まったことではない。それでもコロナ以降の世界的な現代アートへの関心の高まりを受け、その関係がより密接に感じられる機会が増えてはいないだろうか。

毎シーズン発表されるコレクションの着想源やコラボレーションはもちろん、例えば近年では国内のアートイベントや展覧会へのサポートでも、ラグジュアリーブランドの存在が目立っている。昨年10周年を迎えた「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」には「シャネル」「ディオール」、新設した「KYOTOPHONIE」には「ボッテガ・ヴェネタ」などが名を連ね、国立新美術館は「サンローラン」と現代美術家・蔡國強(ツァイ・グオチャン/さい・こっきょう)の展覧会を共催した。また、「ロエベ」のようにプライズ開催と展示を行うブランドも存在する。

こうした文化活動は鑑賞や体験を通して共感性やロイヤリティを高め、ブランドの価値創造の一翼を担うものだ。そんなファッションや宝飾とアートの境界線が重なり合う今、改めて知っておきたいのが、ブランドが設立したアート財団の存在だ。パイオニア的な存在である「カルティエ」から「ピノー・コレクション」まで、芸術施設を運営するブランドのヴィジョンや目的とは何か? 2023年秋に向けた展覧会の最新情報とともに、5つの施設を巡ってみたい。

Fondation Louis Vuitton
フォンダシオン ルイ・ヴィトン

森林に浮かぶ、刷新し続けるアートの帆船

フォンダシオン ルイ・ヴィトン
© Iwan Baan Fondation Louis Vuitton, 2014

2024年に設立10周年を迎える「フォンダシオン ルイ・ヴィトン」。建築家フランク・ゲーリーが設計した“壮麗な帆船”は、パリの現代アートを象徴する存在としても有名だ。自然との調和を前提としたHQE®(高環境品質)を取得した建物であることを聞くと、ブローニュの森に浮かぶ建物に必然性を感じる。同施設を「幅広い人々との対話の扉を開き、アーティストや知識人に議論や考察の場を提供する新しいスペース」と定義する「LVMH」の会長兼CEOであるベルナール・アルノー氏。展覧会プログラムは、メディテーター・ポップ・表現者・音楽/音の4つの感覚的な線引きで区分され、絶えず刷新されているという。年に2回の企画展に加え、ミュンヘン、ヴェネツィア、北京、ソウル、東京と大阪に設けられた「エスパス ルイ・ヴィトン」のキュレートを、パリ市立近代美術館の元館長スザンヌ・パジェが担当している。

マーク・ロスコ
No.14,1960 San Francisco Museum of Modern Art Helen Crocker Russell Fund Purchase ©1998 Kate Rothko Prizel & Christopher Rothko – Adagp, Paris, 2023

「フォンダシオン ルイ・ヴィトン」では、マーク・ロスコのキャリアを全115点の作品とともに辿る「Mark Rothko」を開催する。会期は10月18日から2024年の4月2日。

シモン・アンタイ
©Archives Simon Hantaï, Adagp,Paris 2023 ©Primae / Louis Bourjac

「エスパス ルイ・ヴィトン大阪」ではシモン・アンタイの回顧展「Folding」を9月28日から2024年2月4日まで開催する。フォンダシオン所蔵の1960年代初頭から1980年代の作品を展示。TABULA, MEUN 1975 年

ケリス・ウィン・エヴァンス
“LETTRE À HERMANN SCHERCHEN” FROM ‘GRAVESANER BLÄTTER 6’ FROM IANNIS XENAKIS TO HERMANN SCHERCHEN(1956) Courtesy of the artist and Fondation Louis Vuitton, Paris ©Jérémie Souteyrat / Louis Vuitton

「エスパス ルイ・ヴィトン東京」ではフォンダシオン所蔵のケリス・ウィン・エヴァンス作品を展示する「L>espace)(… 」が開催中。2024年1月8日まで。

フォンダシオン ルイ・ヴィトン
住所:8 Av. du Mahatma Gandhi, 75116 Paris
開館時間:12時~19時
定休日:火曜日
https://www.fondationlouisvuitton.fr/en(英語サイト)
https://www.espacelouisvuittontokyo.com


銀座メゾンエルメス フォーラム
住所:東京都中央区銀座5-4-1 8・9階
TEL:03-3569-3300
開館時間:10時~19時
https://www.hermes.com/jp/ja/content/maison-ginza/


ブルス・ドゥ・コメルス
住所:2 rue de Viarmes, 75001 Paris
開館時間:11時~19時
定休日:火曜日
https://www.pinaultcollection.com/en/boursedecommerce/ribenyu(英語サイト)


カルティエ現代美術館
住所:261 Bd Raspail, 75014 Paris
開館時間:11時~20時(火曜日は22時まで)
定休日:月曜日
https://www.fondationcartier.com/en/(英語サイト)


プラダ財団
住所:LARGO ISARCO, 2 20139 MILANO
開館時間:11時~19時
定休日:火曜日
https://www.fondazioneprada.org/servizio-visitatori-en/?lang=en(英語サイト)

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