平成中村座×宮藤官九郎新作歌舞伎で、勘九郎・七之助が父・勘三郎の夢を引き継ぐ
2022.10.15
2022.10.15
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傾城・桜坂に会いたい徳三郎が、やっと潜れるほどの門を通ると、そこは不思議の国の第二吉原だった。ここからの場面は実際に観てのお楽しみ。勘太郎&長三郎兄弟が元気いっぱいかつ達者に演じていて、理屈抜きで楽しい場面となっている。
奇想天外な演出に加え、勘九郎や七之助をはじめとする俳優たちが競うように生き生きと役を勤めていて、冒頭からおしまいまで見どころ満載だ。終演後、観客の拍手喝采はしばし鳴りやまず、劇場は熱気にあふれていた。
十八世中村勘三郎は子どものようなところがあり、息子たちがいい舞台をやっていると、師として喜ぶ一方で、「俺があの役をやりたかった」とヤキモチをやいていたという。あちらの世界から『唐茄子屋』を見て、またヤキモチをやいているんじゃないだろうか。
70年代に紅テントの芝居にインスパイアされて勘三郎が思い描いた夢を息子たちが受け継ぎ、またひとつ鮮やかな実を結んだ。『唐茄子屋』は、胸を熱くさせる作品である。
text: 香月友里
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