『新・信長公記』の永瀬廉が魅せる正統派アイドルと憑依型俳優という2つの顔
2022.7.24
2022.7.24
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そんな永瀬クンが朝ドラに出演した前年に公開された映画『弱虫ペダル』もまた、俳優としての才能を感じさせる作品である。彼は本作で第44回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。
小野田坂道(永瀬)は千葉に住むアニメオタクの15歳。中学時代は友だちを作れなかったが、高校に進学したらアニメサークルに入部して仲間と好きなアニメについて語り合うんだと意気込んでいた。ところが、入学した高校のアニメ研究部は部員が少な過ぎて休部中であることを知る。
坂道はショックを受けつつも、いつものようにママチャリに乗ってアニメの聖地・秋葉原に向かった。千葉からアキバまで往復50キロもあるのだが──。そんな坂道の走りを目撃した同級生の今泉俊輔(伊藤健太郎)は、坂道に“才能”を感じとり、レースをしようと持ちかける。
白熱した戦いの結果、坂道は負けてしまうが、自転車で走る楽しさを知り、秋葉原で出会った同級生・鳴子章吉(坂東龍汰)に誘われて自転車競技部に入部する。
坂道たちの高校の自転車競技部は、全国に知られた強豪校。俊輔と章吉は中学時代からの経験者で、ロードレースで勝つためこの高校を選んだのだった。今年もインターハイ優勝を目指して精鋭たちがしのぎを削る中に飛び込んだ初心者・坂道は戸惑うばかり。しかし、部長の金城真護(竜星涼)やマネージャーの寒咲幹(橋本環奈)に見守られながらメキメキと能力を開花させていき——。
永瀬クンは、ここでもまたアイドル・オーラを完全オフにして、ちょっとオドオドしたヲタ少年になりきっている。ひとりぼっちだった中学時代が辛くて、高校では友だちが欲しいと熱望した坂道。そんな彼が、ようやく出会えた仲間のために限界を超えて必死にペダルを漕ぐ姿は胸アツ必至。
永瀬クンは役を自分に引き寄せるのではなく、憑依型の俳優であることを、あらためて感じさせる映画である。
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香月友里
かづき ゆり。フリーライター。出版社の編集者を経てライターに。同居する5匹の犬猫たちにお仕えしながら、映画とドラマと演劇とJ-POPにどっぷり浸る日々を送る
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