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ヒグチユウコから横尾忠則まで アートなラーメンどんぶりを買いにギャラリーへ 21_21 DESIGN SIGHT

【日本の伝統柄をアレンジ】

佐藤卓 どんぶり

ラーメンどんぶり展の展覧会ディレクターを務めるグラフィックデザイナーの佐藤卓。今や、“絶滅危惧種”といっても過言ではない、昔懐かしいラーメングラフィックの保存の意味をこめてデザインされた。あえて雷紋を回し、龍と鳳凰(ほうおう)を入れたどんぶりには、透明スープでちぢれ麺のあっさり系ラーメンが似合うと佐藤氏。

細川護熙 どんぶり

第79代内閣総理大臣を務め、政界引退後は作陶、漆芸、油絵や水墨画などを手がけてきた細川護熙。どんぶりと聞いて、まず思い浮かんだ龍が描かれている。3年ほど前に、細川家と縁のある京都・龍安寺の襖絵(ふすまえ)を奉納した際に、幼い龍から老龍まで変容する9匹の龍を描いた細川氏。その際の何十枚にもおよぶ習作から選んだ、知恵の真珠をつかんだ玉龍だ。

千田優希 唐長 どんぶり

初代長右衛門から約400年続く唐長の十二代目であり、アーティスト、木版彫刻家、唐紙の文様パターンデザイナーの千田優希。十二代目ならではの両性具有の微視域から唐紙の美を表している。その美意識と品格を、食を楽しむどんぶりに表した。外面には「丁字唐草」、内面には「蝙蝠桐(こうもりきり)」の文様をあしらっている。

天明屋尚 どんぶり

日本の伝統スタイルを用いて現代絵画を描く「ネオ・ジャパニーズ・スタイル」アーティストの天明屋尚。紅色と金色でラーメンどんぶりをかぶかせたデザインになっている。

深澤直人 どんぶり

幅広い領域で世界を代表するブランドや国内外の企業のデザイン、コンサルティングを多数手がけるプロダクトデザイナーの深澤直人。ラーメンにのっているチャーシューやナルト、メンマ、ノリの具をデザインに生かしている。これには、具と絡めた麺の調和がおいしさを醸し出しているにもかかわらず、具をほじくり、中から具を掘り出して食べたがる自分の姿が反映されている。

永井一史 どんぶり

デザインを活用することで、社会問題に広く取り組むアートディレクターの永井一史は、どんぶりを通して“ラーメン地球儀”を表現。中国から伝わり、日本で独自に発展を遂げ、新しい日本食として世界で人気を博し、世界へ広まっているラーメンを感じてもらいたいという思いが凝縮している。

永井一正 どんぶり

1960年に日本デザインセンターの設立に参加したグラフィックデザイナーで、多くの作品が国内外の美術館に展示されている永井一正。日本人の国民食といってもよいラーメンを愛する人々に美しいと思ってもらうことができ、ラーメン以外にも使用できるデザインを模索したのがこちら。

佐野研二郎 どんぶり

広告、絵本、テレビなどで活躍するグラフィックデザイナー、アートディレクター、クリエイティブディレクターの佐野研二郎。金継ぎにインスピレーションを得て、水玉やシャツの模様のようなストライプなど、さまざまな模様を継いだ。最初からダメージ加工されたジーンズのテイストを器の世界に投影した一点だ。

土井善晴 どんぶり

日本料理とその持続可能な食文化に焦点を当てている料理研究家の土井善晴のどんぶりは、日月国民麺鉢(じつげつこくみんめんばち)。「日月」は、大自然や振興、哲学、万物の根源と考える土井氏。地球を優しく包み込む「お天道さま」と「お月さま」の心地よさを表す一方、一日の無事、一年の無事に感謝したい気持ちを込めている。

【ちょっとグロテスク?】

祖父江慎 どんぶり

グラフィックデザイナー、アートディレクターであると同時に日本有数のブックデザイナー、祖父江慎。れんげにおたまじゃくしを、どんぶりの底にはかえるを描いた。水中になじんでいたはずが、わざわざ陸にあがろうとするおたまじゃくしのチャレンジ精神にあやかって、エネルギーチャージするためのどんぶりを創出したのだ。

田名網敬一 どんぶり

ポップアートのパイオニアであり、グラフィックデザイナー、イラストレーター、ビデオアーティスト、ファインアーティストで知られた田名網敬一のどんぶり。学生時代の定番的昼食だったラーメンだが、あるとき黒蜘蛛(くも)がどんぶりに沈没してもがき苦しむさまを見たことでラーメンを食べられなくなった。その蜘蛛への積年の恨みを込めたデザインだ。今回の展覧会のキービジュアルにも使われている。

森田恭通 どんぶり

国内外で活躍するデザイナー森田恭通のどんぶりの底には、街の姿が集約されている。この汁の底に沈む街のように、世界のみんながラーメンに魅了され、ラーメンに溺れていくさまを表現している。森田氏は、日本発のラーメン文化がハッピーからハッピーへと心をつなげてゆくことを願って、このデザインにした。

束芋 どんぶり

現代アーティストの束芋は、ラーメンのスープの中に見え隠れする男女を表現した。どんぶりに入れられるラーメンによって、2人のさまざまな男女関係を見ることができれば面白いと思ったそうだ。

横尾忠則 どんぶり

現代美術家の横尾忠則のどんぶりには、無数の彩り豊かな骸骨が踊っている。「とんこつラーメンを食べてしっかりした骨を作りましょう」という横尾氏のメッセージが込められている。

片桐仁 どんぶり

俳優、造形家として多方面で活躍する片桐仁。元コントグループ「ラーメンズ」のメンバーとしても知られている。食べて微妙な気持ちになるどんぶりを目指した結果、「スープに店員さんの親指が入っている(しかも両手の)」デザインが描かれることに。スープを飲み進めていくと、底に現れるびっくり仰天の絵は、ぜひ会場で確かめてみてほしい。

photos & text: Rica Ogura

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企画展ラーメンどんぶり展
会期:〜2025年6月15日(日)
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2
   東京都港区赤坂9-7-6 
tel:03-3475-2121
休館日:火曜日
開館時間:10:00 – 19:00(入場は18:30まで)
入場料:一般1,600 円、大学生800 円、高校生 500 円、中学生以下無料
https://www.2121designsight.jp/program/ramen_bowl/

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