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俳優ナタリー・ポートマン、女子サッカー界への挑戦。──男女の格差をなくすために

女子サッカーのシステムに革命を起こし、女子スポーツ全体に変化をもたらすために

遠藤純選手がこの夏の女子ワールドカップ日本代表に選出された際、チームの公式アカウントが祝福の投稿

チーム発足時、「私たちは一緒に、フィールドで勝利するチームを作るだけでなく、情熱的で忠実なファンベースを作り出すことを目指しています」と宣言したナタリー。

チーム、そして女子サッカー界全体がまだプロとして発展途上にある中、単に女子サッカー界に革命を起こすだけでなく、女子スポーツ界全体の状況を永遠に変えることを目的としている。

『CBS』によるとエンジェル・シティの共同経営者たちは、コロナ禍中にズーム会議を重ね、引退後のキャリアに向けたトレーニングを含め、選手たちのためにより良い労働条件を模索。選手にフリーエージェントを認める団体協約を提唱することや、フルシーズン契約を保証することなどを取り決めた。

特筆すべきは、チケットの売り上げの一部を選手一人ひとりに配分するという新たなシステムだ。米サイト『SportsMedia Pro』によると、これは、SNSで自分の名前や画像などを使用して、チケット販売を促進するための活動に参加するすべての選手が利用でき、給与に加えて得られる報酬となる。初年度の2022年シーズンはクラブのチケット純収入の1%が、選手給与基金「ACFC Fan-Fueled Player Fund」として選手たちに均等に分配されたという。

地域社会への貢献にも積極的に取り組み、すでに成果も

LAの男性サッカーファンも、エンジェル・シティの発足を歓迎

2022年4月、チームの開幕戦で『PEOPLE』の独占インタビューに応じたナタリーはLAに全米女子サッカーリーグのチームを誘致することがいかに特別なことかについて語り、チームがLAにもたらしたコミュニティ意識について言及。

「道行く多くの人々」が「LAにNWSLチームがあることに感謝し、とても喜んでくれた」といい、「地元の男性ファンが、男子サッカーの試合で “Bring NWSL to LA”(LAに全米女子サッカーリーグを)の横断幕を振っていたことには、とてもインスパイアされました。彼らにとても感謝しています」と語った。

クラブ関係者の多くがLA出身者で、「世界を楽しませたいという想いで」チームを作ってきたという

エンジェル・シティが設立されて2年。チームはLAの大規模な食糧不足問題を含め、地域社会に焦点を当てて、年間約250のイベントを運営しており、その影響力はすでに広がっていると豪紙『The Sydney Morning Herald』は伝えている。

また『Guardian』によると、エンジェル・シティはスポンサー収入の10%を地域社会に還元。これまでにスポンサーとのパートナーシップを通じて、地元の小学校に7つの庭を作り、若い女性アスリートにスポーツブラを寄付したほか、食料不足で苦しむ人たちに何千食もの食事を届けたという。

サッカー界の男女の格差をなくすために、そして次世代に向けて

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「サッカー、もしくは多くの人がフットボールと呼ぶもの、それは喜びです。本当に人々をひとつにする楽しいものなのです。そして、女性の平等のようなものをサポートできるだけでなく、同時にとても楽しい時間を過ごすことができます」と『PEOPLE』に語ったナタリー。

女性スポーツの成功は、彼女の12歳の息子アレフと6歳の娘アマリアにとっても重要なことで、「子どもたちに、そしてLAに、女性スポーツの世界を見せられることを誇りに思っています」と続けたナタリー。「すべての子どもたちにとって、とても影響力のあること」だと付け加えた。

さらに、これまで女性たちは「男性アスリートをアイドル化することを期待され、実際そうして育った」が、優秀な選手を見れば、性別に関係なく「畏敬の念を抱くことができる」と断言。実際にスタジアムで、子どもたちがチームの選手に熱狂している姿を見ると、女性選手に憧れて育った子どもたちの将来がどれだけ違ってくるかを考えて、「すごくゾクゾクする」というナタリー。

「私たちの夢は、女子サッカーが世界中で、男子サッカーと同等に評価されるようにすることです」

text: Akiko Eguchi

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