俳優ナタリー・ポートマン、女子サッカー界への挑戦。──男女の格差をなくすために
2023.8.29
2023.8.29
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まずナタリーは「Time‘s Up」を通じて知り合ったベンチャーキャピタリストのカーラ・ノートマンとアイデアを共有。ノートマンが趣味のバスケットボール仲間だったハイテク企業の重役ジュリー・ウーマンに声をかけ、「あっという間に」グループとなった。米誌『PEOPLE』のインタビューによると、「大半が女性オーナー、女性経営者、そして選手はもちろん女性という、このクレイジーなアイデアを思いついた」ときは「ただただワイルドだった。100万年経っても想像していなかったことだから」。
既存のチームを買収するという可能性についても話し合ったというが、最終的にはビジネス・ベンチャーとしてスタートすることに。「私たちは所有者グループとなるべく、信じられないような人々を集め始めました」。はじめはスタートアップのテック企業のように扱われ、主に男性から慇懃(いんぎん)無礼なフィードバックを受けたというものの、資金集めに成功。
最初の出資者は、女子テニス界のスーパースター、セリーナ・ウィリアムズの夫アレクシス・オハニアンだった。彼がリードインベスターとして参加してくれることとなり、4人が共同設立者兼オーナーという形で、エンジェル・シティ・フットボールクラブを設立。2020年7月21日(現地時間)に正式に発足が発表された。
現在、チームはプロスポーツ界最大の女性主導オーナーグループによって支えられており、『Guardian』によると、100人以上の出資者のうち3分の2は女性とのこと。スポーツ界ではミア・ハム、アビー・ワンバックなど、12人以上の元女子サッカー選手やアルペンスキー選手のリンゼイ・ボン、女子テニス界のレジェンド、ビリー・ジーン・キングやセリーナ・ウィリアムズなどが出資。またエンタメ界からは、前出の俳優ジェニファー・ガーナー、ウゾ・アドゥバ、ジェシカ・チャステイン、エヴァ・ロンゴリアのほか、アメリカ・フェレーラなど、そうそうたる面々が賛同している。
今年5月、米サイト『ET』の取材に応じたナタリーは、「友人たちからのサポートは信じられないほどで、みんなが同意してくれたときは本当に感動しました。というのも(協力してもらえるかどうか)明白でなくて。私たちは『イエス』の返事をもらう前に、たくさんの『ノー』の返事をもらっていたから」と告白。
そして、一からチームを作ることが「こんなにも重荷だとはわかっていなかったような気がします。どんなに大変なことなのかわかっていたら、やるのをやめていたかも」と本音も打ち明けた。
しかし、ドキュメンタリー番組の予告映像で、ナタリーはこう発言している。「時には不可能な夢を見て、そしてそれを捨ててしまうこともある。でも愛し、尊敬する誰かが、それはいい考えだ、やり続けるべきだと言ってくれることもあるんです」
「Me Too」運動に関連したセクシャルハラスメントに対する運動「Time‘s Up」の創設者のひとりであるナタリーにとって、エンジェル・シティFCは、そのミッションを続けることを意味するという。
ナタリーとパートナーたちは、女子サッカー界における、“女性を過小評価しながら、その偉大さは利用する”という方法が、ハリウッドと似ていることを発見。女性アスリートたちの「実際の価値は天文学的な数字」なのに、選手としての報酬やリーグの放映権、スポンサーシップは「それに見合ったものではない」と、ナタリーはドキュメンタリー番組の中で説明した。そして、自分たちが「選手たちの物語を伝える特権を得たことにとても感謝しています」と付け加え、選手たちの偉大さを喧伝(けんでん)していきたいと語っている。
「今となっては(Time’s Up運動は)消えてしまったようなもので、とても腹立たしい」というものの、「あのミッションを継続できるような何かがあることは素晴らしいことです」と『PEOPLE』に語ったナタリー。今、自分が女性スポーツに与えた影響が、あらゆる業界の女性にも恩恵をもたらしていると感じているそう。
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