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21-22年秋冬オートクチュールコレクション。クチュールの手技をリアルアイテムに落とし込む

7月5〜8日にパリで開催された2021-22秋冬オートクチュール・ファッション・ウィークのハイライトをリポート!

2021-22年秋冬パリオートクチュールコレクションは、4日間の公式スケジュールで発表された33ブランドのうち観客を入れたショーは6ブランド。とはいえ、今までの規模ではなく客席数をぐっと減らした設えになっています。

今シーズンの話題は「ゴルチエ パリ バイ サカイ」です。昨年1月突然引退宣言したジャン=ポール・ゴルチエですが、クチュールラインの「ゴルチエ パリ」は毎シーズンゲストデザイナーを招いてショーを行うことを発表。その1回目が「サカイ」の阿部千登勢さんです。コロナ禍で2シーズン発表が延期され実現しました。

ショー会場はいつものゴルチエのショールーム。ゴルチエのアイコンである円錐形のピンクのコーンブラに「サカイ」らしい切り替えのバイアス布がたわみ二人のハイブリットなドレスに仕上がっています。ゴルチエクチュールをリアルな「サカイ」がモダンに仕上げ、新鮮なコレクションです。

「シャネル」はガリエラ宮パリ市立モード美術館の中庭で新作を披露しました。ラメやリボンの入ったツイードが軽やかな存在感を放ち、ツイードジャケットに羽のボリュームスカートが広がります。バラモチーフを立体的な刺しゅうの手技で施したミニスカートはキュートです。バレエシューズで日常に着たいデザインです。

「ディオール」はパリ・ロダン美術館の特設会場の壁面を全長40メートルのインド刺しゅうの壁掛けで覆いました。「刺繍の間」です。クラシックなモノトーンのツイードスカートには黒のブラトップを合わせています。黒白が中心ですが、自然をモチーフにした刺しゅうのアンサンブルは圧巻です。

「ジョルジオ アルマーニ プリヴェ」は光沢素材を中心に、ジャケットとパンツのアンサンブルを並べました。花モチーフを形どる変形襟がエレガントです。フィナーレはピンクのフラワープリントドレスが登場しました。

「フェンディ」は石造りのローマ都市を背景にキャットウォークする映像を配信しました。マーブルの色調を花プリントに乗せ、刺しゅうを施したドレスやスーツは繊細な仕上がりです。チュールレースにファーの花モチーフをつけたブルゾンとミニスカートのルックは「フェンディ」ならではの技術です。

ラグジュアリーなオートクチュールでも服づくりの背景に、アップサイクルやサスティナビリティを意識しています。今シーズンの特徴は、手技を駆使したディテールがドレスばかりではなくシンプルなリアルアイテムに落とし込まれていたことです。

text: Terumi Hagiwara

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