過去と現在、和と洋が交差する。時代を超えた空間「ホテル創成札幌 Mギャラリー」が誕生

レトロとモダンを感じる「創成イーストエリア」

6階建てのホテルは、札幌を南北に横断する創成川の東、“創成イーストエリア”に位置。同エリアは札幌の発展を牽引してきた歴史ある場所であり、現在は当時の風情と現代的な活気が融合している。目の前には複合商業施設「サッポロファクトリー」があり、ここは明治9年（1876年）に創業された札幌開拓使麦酒醸造所をルーツとする、サッポロビール工場跡地でもある場所だ。

ホテルのデザインは、東京を拠点とする「Design Studio Crow」が担当。「21世紀に生まれ変わる開拓使時代の邸宅」 をテーマに、当時の開拓者たちが見た光景を現代的に再構築したという。クラシックさの中に随所、モダンさを織り交ぜながら創成エリアの歴史を垣間見ることができる。

未来と過去を繋ぐ歴史をアートに落とし込んだ空間

ホテル内では、まさに“ギャラリー”のような、アートな雰囲気を感じられるのも魅力に。エントランスには、開拓の歴史に敬意を表し、ビールの原料である「ホップ」をモチーフにした大きな立体彫刻が置かれる。ほかにも、香水産業において使用された道花「ハマナス」を、開拓者たちの繊細な技術への敬意を表すモチーフとして、至る場所にデザインに落とし込み、ちりばめている。

レストラン＆バーはダイナミックなデザイン

1階のレストランやバーは、“開拓使の社交場”をイメージしてデザイン。レストランは札幌でビール醸造を成功させた、日本人初のビール醸造技師・中川清兵衛がビール造りを学んだドイツのブルワリーからインスピレーションを得たというインテリアに。壁一面には、ビール瓶約4,000本とLEDを埋め込んだアートウォールの大胆な演出が施され、印象的な空間の中で食事を楽しむことができる。

一方のバーラウンジには、銅製のビール釜をモチーフにした暖炉が置かれ、暖かみのある雰囲気。ゆらめく炎を見ながら、ゆっくりとドリンクを堪能したい。

落ち着ついた雰囲気の中でゆっくりと過ごす

全118室の客室は、「はまなすスイート」（58平米）、「デラックス」（39平米）、「スーペリア」（29平米）を含む合計7タイプ。開拓使時代の邸宅が和洋折衷の建築様式だったことから、当時の邸宅に倣い、客室も過去と現在、和と洋が融合したデザイン。家具やテキスタイルも、香水の瓶をモチーフにしたペンダントライトなど、開拓使が実際に外国から輸入した品々のデザインからヒントを得たというこだわり。壁紙には、創成エリアの歴史を思い起こさせる「開拓使の道のりと繁栄」や「創成川の発展」を日本画で表現したものが描かれている。

アメニティにはすべて木製を使用、シャンプーやコンディショナー、ボディソープも詰め替え可能なボトルを使うなど、サステナブルな取り組みも行っている。

ホテルステイを楽しみ、学ぶ「開拓の歴史」

札幌市の中心地からは少し離れたエリアだが、近くには札幌開拓使麦酒醸造所やサッポロビール博物館、旧永山武四郎邸及び旧三菱鉱業寮、北海道神宮頓宮といった開拓の歴史を学べるスポットも多い。また、徒歩15分ほどで二条市場もあり、その周辺にはおしゃれなカフェなどもあるので、新しい札幌の発見をする滞在も楽しめそうだ。

text: Kurumi Fukutsu

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