ヤマザキマリさんの「自由を選んだ人生」 大師匠は愛猫のベレン
2023.12.18
2023.12.18
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さて、猫中心の生活を送るヤマザキさん。ベレンとの暮らしぶりはというと――。
「今は家族と離ればなれになっているから、一人でいることには慣れていても、やはり寂しくはなりますからね。そんなときベレンの存在は本当にありがたいですよ。殺伐とした気持ちになっていても、猫を触った途端に全て発散。猫と一緒にいることで万全なエネルギーがたまる。感謝に尽きますね。私の心細さや寂しさを支えてくれていることにはもちろん無自覚なんでしょうけど、本当に感謝しています」
猫を触ると満たされた気持ちになる理由は、「猫は神だったから」。つまりもう、猫に触れることで魔法にかかるのだ。
「犬も好きなんですけど、猫は人間に寄生して生きるという動物としてのプロフェッショナリティが半端ない(笑)。寄生して生きるという姿勢の揺るぎなさ、すがすがしさには敬服します。すがられている立場でありながら、こちらが依存症になってしまうのもおかしいですよね。ベレンにしてみれば『私は上手に距離を取ってるのに、あいつはダメダあ』とか思われてる気がする(笑)。ベレンはもはや私にとっての運命共同体の一員です」
ベレンの話になると自然と笑みがこぼれるヤマザキさんは、最近、25年ぶりに油絵を始めたという。今後の展望はと尋ねると……「何もない」。なぜなら、今までの人生系譜をたどってみてもわかるように、目的や展望など持たなくても、絶対に何かは起きるから。「そうした出来事と対峙することが経験値という栄養素になるのです」
次にヤマザキさんにはどんなことが起きるのだろう。『猫がいれば、そこが我が家』を読みながら、新たな作品も楽しみに待ちたい。
photo: Norihiro Shigeta
hair & make-up: Takou Kazue
interview & text: Tomoko Komiyama
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ヤマザキマリ
漫画家・文筆家・画家。東京造形大学客員教授。1967年東京生まれ。84年にイタリアに渡り、フィレンツェの国立アカデミア美術学院で美術史・油絵を専攻。比較文学研究者のイタリア人との結婚を機にエジプト、シリア、ポルトガル、アメリカなどの国々に暮らす。2010年『テルマエ・ロマエ』で第3回マンガ大賞受賞、第14回手塚治虫文化賞短編賞受賞。2015年度芸術選奨文部科学大臣賞メディア芸術新人賞受賞。2017年イタリア共和国星勲章コメンダトーレ受賞。著書に『プリニウス』(とり・みきと共著)、『ヴィオラ母さん』『CARPE DIEM 今この瞬間を生きて』『扉の向う側』『貧乏ピッツァ』など。リンクを
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