映画『白鍵と黒鍵の間に』主演・池松壮亮にインタビュー。実力派俳優が作品と向き合う矜持
2023.9.29
2023.9.29
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――主人公はジャズに魅せられたピアニストです。ジャズといえばセッション。そして、お芝居もまさにセッションかと。池松さんは、やはり演技のセッションがお好きですか?
セッションが好きでなければ、やっぱり俳優はできないと思います。日常会話でのセッションは苦手なんですけどね(苦笑)。1人ならまだしも、2人3人となると必ずそこにはセッションが生まれます。でも今回、音楽のセッションのあの高揚感に勝るものはないなと思いました。感情がうなるようにのせられていきました。現場でも体がのってきて、思わず立ち上がったり踊り出したり歌い出したりする時のあの感じを何度も体感しました。映画館の極上の音でこの音楽映画のセッションを聴いてもらいたいなと思います。

――さて、本作は夢を追い始めたばかりの主人公と、3年後、夢を見失った状態にある同じ人物を、一夜において描くユニークな構成になっています。
素晴らしいアイデアだと思いました。冨永(昌敬)さんの脚本力には驚かされるばかりでした。人生を地続きではなく、一夜の中で断片的に共存させています。そうやって人生を俯瞰(ふかん)して同時に見つめることで、何が浮かび上がってくるのか。そのことが今回とてもチャレンジングでしたし、この映画を特別なものにしていると思います。
――考えてみれば、「博」と「南」のように、私たち自身も3年前と今とでは、別人といっていいほど異なる部分を持っています。
そうですよね。3年前はみんながマスクをしてステイホームを強いられ、この先の日常が戻ってくるのかさえわからない状態にいました。このユニークな試みによって、人生そのものが浮かび上がってくるような、観た人がより人生を感じるような映画を目指してみたいと思いました。人生には様々な局面があって、人生だけでなく、時代というのも創造と維持と破壊を繰り返しています。その連続性こそが人生であり、そのままならない人生の連続性のはざまに生じる間を、音楽で埋めていたということに主人公は気づきます。今回そういった移ろいの中にある間のようなものを捉えてみたいと思いました。そのために音楽や映画があるといっても過言ではないように。
映画『白鍵と黒鍵の間に』
公開日:2023年10月6日(金)
出演:池松壮亮 仲里依紗 森田剛 クリスタル・ケイ 松丸契 川瀬陽太 杉山ひこひこ 中山来未 福津健創 日高ボブ美 佐野史郎 洞口依子 松尾貴史 / 高橋和也
原作:南博「白鍵と黒鍵の間に」(小学館文庫刊)
監督:冨永昌敬
脚本:冨永昌敬 高橋知由
音楽:魚返明未
配給・制作プロダクション:東京テアトル
公式サイト:hakkentokokken.com
衣装 問い合わせ先
ヴァレンティノ インフォメーションデスク
03-6384-3512
池松壮亮
1990年7月9日生まれ、福岡県出身。『ラストサムライ』(03)で映画デビューを果たす。2014年に出演した『紙の月』『愛の渦』『ぼくたちの家族』『海を感じる時』で、第38回日本アカデミー賞新人俳優賞、第57回ブルーリボン賞助演男優賞を受賞する。近年の主な映画出演作に『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(17)、『斬、』(18)、『宮本から君へ』(19)、『アジアの天使』(21)、『ちょっと思い出しただけ』(22)、『シン・仮面ライダー』(23)、『せかいのおきく』(23)など。公開待機作に『愛にイナズマ』。
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