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ヨガ・瞑想──この時代をサバイブしていくための、重要でシンプルな手段

マリ・クレール編集長、田居克人が月に1回、読者にお届けするメッセージ。 今年8回目を迎えた「国際ヨガデー」。毎年6月21日と定められ、各地で記念する行事が行われています。日本で開催された関連イベントでは、ヨガや瞑想を実践する人が増えている背景について活発な意見交換がなされました

なぜいまヨガに惹かれるのか

6月21日が「国際ヨガデー」ということをご存じでしょうか?

「国際ヨガデー」は、国連の主要機関の一つである国際連合総会で、2014年12月11日に全会一致で採択されました。世界中の人々がヨガを楽しみ、身体・心、そして社会の健康をはぐくむために、インドのナレンドラ・モディ首相がこの日の設置を提唱し、インドの著名なヨガマスターたちも多数署名し、実現しました。

6月21日を「国際ヨガデー」と定めた理由については、この日が北半球において、最も日が長くなる夏至にほぼ相当し、世界各地でこの日を特別な日とする考えが共有されているからだと、モディ首相は述べています。翌2015年から実施され、毎年6月21日に「国際ヨガデー」を記念する行事が世界各地で行われています。

この流れを受けてでしょうか、ヨガを始める人が昨今とみに増えています。世界でのヨガのマーケットも、2021年には約1.6兆円だったのが2026年には約2兆円まで拡大するだろうとアメリカの調査会社も発表しています。

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「国際ヨガデー」に先駆け6月6日の夜、丸の内にある日本外国特派員協会で、第8回国際ヨガデー記念「今こそ自分を整える~瞑想とヨガについて」というタイトルのメディアミーティングが開かれました。なぜヨガ瞑想がこれほど人気があるのか、市場や社会との関係、文化的な側面からの考察、またヨガの効能などが語られました。

会場は多くの記者会見が開かれる日本外国特派員協会のダイニング・ルーム「The Pen & Quill」
第8回国際ヨガデー記念「今こそ自分を整える~瞑想とヨガについて」でヨガについて語る、左よりファシリテーターの清藤誠司さん、ヨグマタ相川圭子さん、筆者、ロバート・ハリスさん、辛酸なめ子さん

ファシリテーターはNHKで「日曜美術館」など美術・教養番組のプロデューサーを務めてきた清藤誠司さん。ゲストスピーカーとして、作家でラジオナビゲーターのロバート・ハリスさん、漫画家、イラストレーター、コラムニストでもある辛酸なめ子さん、そして私も務めさせていただきました。

まず私が話させていただいたのは、なぜヨガがこれほど世界的に人気なのかについてです。世界各国で発行されている『マリ・クレール』誌でも「健康」のコーナーに「マインドフルネス」という項目があり、そこではヨガや瞑想が紹介されていること。これは21世紀に入り、これまで以上に高まる精神面も含めた健康志向、さらにはコロナ禍がその健康志向に拍車をかけたと言えるかもしれないこと。

コロナ禍でのテレワーク、在宅勤務の奨励により、ただでさえ運動不足だった現代人が、さらに不安感を募らせ、これを解消するために自宅でできる健康法として、ヨガをはじめるようになったのではないかということ。デジタル技術の進歩によってヨガスタジオに通うことなく、自宅で、人の目を気にせず、マット1枚あれば十分という手軽さで運動ができることも、このブームの大きな要因の一つではないかと。

さらにはハリウッド女優やスーパーモデルなどが、極度の緊張や不安、熾烈な競争社会を生き抜くため、心と身体をクリアにするためにヨガや瞑想を取り入れ、その様子がSNSなどで発信され、多くの若い人たちが関心をもつようになったという点も付け加えさせていただきました。

Profile

田居克人

たい かつと marie claire編集長 出版社勤務の後、PAN-AMやUNITED AIRLINEの機内誌のアートディレクターを務め、その後『ELLE JAPON』や『marie claire japon』などのファッション誌の副編集長、編集長を歴任。現在は読売新聞東京本社から発行される『marie claire』『YOMIURI STYLE MAGAZINE』編集長。 1999年よりファッションメディアの責任者で構成される「日本ファッション・エディターズ・クラブ」の代表理事、日本外国特派員協会会員。

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