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【星のやを唎く】沖縄の原風景が残る「星のや竹富島」。離島の集落で、暮らすように滞在する

夜になると、しっとりと落ち着いた雰囲気なるダイニング

洗練されたダイニングでコースとサービス

一方で、施設やサービスは「星のや」らしく洗練され、寛いだ滞在をサポートしてくれる。楕円形のプールに面した開放的なダイニングでの食事も同様。沖縄の豊かな食材とユニークな食文化をフレンチの技法を用いて表現したクリエイティブな料理は「琉球ヌーヴェル」と呼ばれる。泡盛とのペアリングも楽しい。眼で、鼻で、そしてもちろん舌で八重山の風土を味わう──。中洲達郎総料理長が供する全8皿コース料理は、「星のや竹富島」でしか体験できない「もう一つ」のアクティビティでもある。

中洲総料理長は2011年に「ボキューズ・ドール」国際料理コンクールで日本代表、アジア代表として世界大会への出場経験を持つ

コースのスタートを告げるアミューズは、サクラのチップで軽く燻製にしたヤイトカツオのタルティーヌ。それに沖縄の鰹節を使った伝統の汁物のカチューユを合わせた。最初から琉球ヌーヴェルを強烈に印象づける。ペアリングのワインは、サバルトのカバ・ブリュット・ロサト(NV)。ピノ・ノワールから造られた果実味豊かなロゼのスパークリングがカツオの身の色ともマッチし、初夏ならではのカツオの旨みを引き出す。

「シェーブルのクスクスサラダ仕立て パッションの香り」

琉球の伝統とフレンチの最前線が料理に融合

プルミエールの「シェーブルのクスクスサラダ仕立て パッションの香り」は、中洲総料理長ならではの一皿。低温調理した仔山羊のタルタルの上に、フーチバーを混ぜ込んだクスクスを合わせた。マリンブルーの大皿に盛りつけたタルタルの鮮烈な赤、そしてクスクスの淡い緑が視覚で涼感を演出する。50度前後の温度でゆっくりと火入れした仔山羊は柔らかいのに弾力があり、シェーブルチーズのクリームやパッションフルーツのソースと合わせ、複雑な味わいを楽しめる。この繊細な料理に合わせたのは、キンタ・ド・インファンタードのホワイト・ポート。自然派の造り手として知られ、ドライな味わいの中に新鮮な洋ナシのようなニュアンスも感じる。料理にマッチした「第2のソース」を味わっているよう。コース前半で酒精強化ワインを持ってくるとは攻めの選択だが、正解だと思う。

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ドゥジェームは「車エビとアーサーのフリット うっちんとマンゴーのソース」。このさっぱりとした料理に、フランソワ・ダレンのリュリー・レ・サン・ジャック2017を合わせた。リュリーらしい、きれいな酸味とミネラル感が料理の旨みをさりげなく引き出す。 

「島菜のスープ サザエのフランを忍ばせて」と名付けられたコクのあるスープに続いて供されたのは魚料理。「ウキムルーのパン粉焼き 青豆の軽い煮込みと共に」という、この季節が旬のウキムルー(カンパチ)を使った上品な一皿。この料理には、話題のビオディナミのオレンジワインを合わせた。フランス・ルーション地方の造り手ナダによるフィーユ・ソヴァージュ2019。マカブーとグルナッシュ・グリから醸造した自然派のワインはシルキーなテキスチャーで、しっかりとした酸味も感じられ、料理の味わいを引き締めてくれる。

お問い合わせ先

「琉球ヌーヴェル」春のディナーコース 概要
実施日:~7月24日(翌日から夏のコースに)
時間:17:30~20:00
料金:1名 14,520 円(税・サービス料込 、宿泊料別)
By The Glass Tour:ペアリング3種(4,950円)、ペアリング4種(6,380円)、ペアリング5種(7,700円)(すべて税・サービス料込)
予約:要予約。公式サイト( https://hoshinoya.com/taketomijima/)にて 前日 まで受付
対象者:宿泊者
備考:状況によりメニューの内容、食材が 一 部変更になる場合があります。


星のや竹富島
所在地 :〒907-1101 沖縄県八重山郡竹富町竹富
電話 :0570-073-066(星のや総合予約)
客室数 :48室・チェックイン:15:00/チェックアウト:12:00
料金 :1泊 112,000円~(1室あたり、税・サービス料込、食事別)*通常予約は2泊より
アクセス:石垣港よりフェリーで約10分 竹富港より送迎有

関連情報

Profile

高橋直彦

『マリ・クレール』副編集長。石垣島へは何度か訪れたことがあるが、八重山の離島へ足を延ばしたのは今回が初めて。街並み、コバルトブルーの海、そして地域の特徴を色濃く反映した芸能と民俗……。東京から訪れると、島そのものが「圧倒的な非日常」に満たされていた。そうした環境に徹底して寄り添おうとする「星のや竹富島」の賢明な姿勢を称賛したい。今年で開業10年とのことだが、これからのリゾート施設のあり方をある意味、先取りしていたと思う。機会と資力に恵まれれば、再訪したい施設がまた一つ自分の中にできた。

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