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LGBT検定®で多様性を理解し、受け入れる姿勢を身に付ける

【skill up】きょう以上にあす、もっと成長していたいと思うあなたにおススメの学びの講座をご紹介します。近年より認知度が高まっているLGBTについて、改めて学んでみてはどうでしょうか。

対面で行われた企業での初級講座の風景(CialFrame 提供)

LGBTへの理解が広がるも弊害が生じたことから検定制度を導入

LGBT基礎理解検定™(LGBT検定®)を主催する一般社団法人CialFrame(シャルフレーム)の前身は、2005年にLGBTの総合支援団体として日本で初めて創立された一般社団法人日本セクシュアルマイノリティ協会で、社会のニーズの変化、多様化にともない、元からある協会に加え2020年、すべての人が心地よく、ありのままで笑顔になれる環境を整える団体として新しくスタートを切った。

LGBT基礎理解検定™を始めたのは2017年。その経緯について、団体の創立メンバーの1人でもある、CialFrame代表理事の中根吉美さんは、こう話す。

「2005年の創立当時は、LGBTという言葉自体が、ほとんど知られていない時代で、そのころからずっと、性的マイノリティの方の支援を手弁当で続けてきました。その後、2015年に東京都の渋谷区と世田谷区が、同性カップルを証明したり、宣誓を受け入れたりするようになったことなどから、一気に認知度が高まり、理解者、支援者が増えました。私たちは、理解や支援の輪が広がることは、とても喜ばしく感じているのですが、一方で、人によって、感情に左右されたり、違った理解をされたりして、私たちの伝えたいことが、曲がって伝えられるということも起きるようになったのです。私たちの考え、思いをちゃんと伝えるには、きちんとした検定制度にするしかないと考え、導入を決めました」

初級はe-ラーニングで基本概念や専門用語などを学ぶ

実際に、検定初級を受けてみた。初級は、e-ラーニング授業なので、自宅にてオンラインで受講する。申し込み月の翌月、指定の20日間の間、いつでも自分の都合のよい時間帯で受講できる。 総受講時間は約1時間30分。オリエンテーションと講座の説明に続いて、5つのパートでそれぞれのテーマについて専任講師によって解説され、最後に全体のまとめが行われる。ひとつのパートの受講時間は、5~15分で、コンパクトにまとめられている。内容としては、LGBTの基本概念から始まり、専門用語の解説やNGワードの説明など、この問題を学び、知識を深める上で、基礎的な部分が中心となっている。

「私たちの考え、思いをちゃんと伝えたいと思い検定を始めました」と話すCialFrame代表理事の中根吉美さん(撮影 繁田統央)

上級ではケーススタディやロールプレイングも

一方、上級は、座学に加え、ケーススタディと参加者が2人1組になってのロールプレイングもあり、より実践的な学びを経験することができる仕組みになっている。従来は、対面で行っていたが、コロナ禍により現在は、ZOOMを使ったオンラインで講座を行っている。月に1度、日曜日の午後いっぱいを使って行われており、6月の開催講座には、6人が参加、そのうち1人が男性だった。30代、40代の参加者が主だが、20代の大学生も1人いた。

実際に参加した人の声を聞いてみた。静岡県から参加した40代女性は、LGBT基礎理解検定™上級を受けての感想を次のように述べていた。

「LGBTについて、わかっているようで、実はわかっていない部分がまだ多くあることがわかり、とても勉強になりました。保育園に通っている子どもがいて、そのママ友の話の中で、アウティング(本人の了解を得ずに、その人の性自認の秘密を明かす行為)のようなことを言っている人がいるのを、これまでは聞き流していたのですが、アライ(理解者・支援者)として関わっていくのなら、それはNGだということを、はっきり伝えておかないといけないと強く感じましたし、今後はそのようにふるまっていきたいと強く思いました」

初級・上級を通じて感じたLGBT基礎理解検定™の特徴としては、まず初級では、(1)時代が経過しても左右されない、多様な性に関する「軸」を学ぶことができる、(2)本やイベントなどで得る知識だけではなく、系統立てて大切なところを学べる、上級では(3)基礎理解から、相手への配慮に関する部分まで学べるーー以上の3つが挙げられる。

タレントで実業家の清水國明さん(右)も上級講座の修了者だ(CialFrame 提供)

性的マイノリティとそうでない人たちとの懸け橋になってくれる人を育てる

中根さんは、このような人にこそ、LGBT基礎理解検定™を受けてほしいと話している。

「初級については、お母さんには、ぜひ受けてほしいですね。よりよく子どもと向き合うことができるようになると思いますし、実際にその課題に対処することになっても、選択肢の幅が広がります。上級だと、企業にお勤めの人事の担当者、それと接客業の方にもお勧めしたいです。多様性を理解し、受け入れることで、サービスの質の向上につながると思います。この検定を受けることで、性的マイノリティとそうでない人たちとの懸け橋になってくれる人がどんどん増えていくことを、われわれは期待しています」

受講は、ネットで受け付けている。受講料は、初級が9,800円で、上級が49,600円(いずれも税別)。初級修了者が上級を受ける場合は、受講料9,800円が割引になる。 アドバンスコースとして、「SOGIカウンセラー™」と「LGBTプロフェッショナルインストラクター™」も用意されている。

詳しくは、「EESa! LGBTと資格」へ。 https://jlga.or.jp/lgbtcert/workshop/

Profile

二居隆司

読売新聞に入社以来、新聞、週刊誌、ウェブ、広告の各ジャンルで記事とコラムを書き続けてきた。趣味は城めぐりで、日本城郭協会による日本百名城をすべて訪ねた。

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