あらゆる人に開かれたシングルモルト。グレンモーレンジィ の真夏の楽しみ方
2023.8.9

スモーキーで「男性の酒」というイメージのあるウイスキー。そんな中、よりスムーズで繊細な味わいを楽しめるシングルモルトが注目を集めている。
2023.8.9
スモーキーで「男性の酒」というイメージのあるウイスキー。そんな中、よりスムーズで繊細な味わいを楽しめるシングルモルトが注目を集めている。
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スコットランドのハイランド地方に蒸留所を構える「グレンモーレンジィ」もその一つ。「ウイスキーはクセが強くて」と敬遠気味な女性を含め、幅広い人にその魅力を伝えるため、「Open to All」を掲げ、華やかな香りが際立つバランスの取れたシングルモルトを造り続けている。実際、カクテルにしてよし、ハイボールにしてもよし、そしてもちろんストレートでもいける。とにかく、飲む人を選ばない。7月3日にザ・グレンモーレンジィ・カンパニー社長兼CEO(最高経営責任者)に就任したばかりのキャスパー・マクレー氏 に、東京のオフィスでその魅力と楽しみ方を聞いた。
来日したのは日本各地で猛暑日を記録した7月上旬。この時期の楽しみ方を尋ねると、「ハイボール!」とマクレー氏からすかさず答えが返ってきた。「ぜいたくに大きなロックアイスで満たしたグラスにグレンモーレンジィを注ぎ、次に炭酸水を注ぐ。最後にオレンジのピールを加えれば完璧」。で、その日の夜、自宅で試してみた。ロックアイスを背の高いグラスに敷き詰め、グレンモーレンジィを代表するシングルモルトの「オリジナル」を3分の1ほど注ぎ、残りを強めの炭酸水で満たしてステア。最後にスーパーで見つけたバレンシアオレンジのピールを添えた。そうすると、ウイスキーから立ち上がるかんきつ系の香りとバレンシアオレンジの爽やかな香りが混然として暑気を一気に払ってくれる。飲み口も滑らか。バニラやハチミツの甘みも感じられる。「『オリジナル』は、みんなで集まって楽しむためのシングルモルト」とマクレー氏が言っていたことを思い出す。肴(さかな)は 活き締めにしたイサキの刺身。イサキの優しい甘みとオリジナルの繊細な味わいが絶妙にマッチする。他にはもう 何もいらない!
しかし、どうしてこんなにフルーティーな味わいになるのか? 「ポットスチル(蒸留器)の影響があるのかもし れません」とマクレー氏が教えてくれた。グレンモーレンジィでは、スコットランドの蒸留所で背が最も高いとされるポットスチルを使っている。一般的なポットスチルの高さが3メートル前後なのに対し、グレンモーレンジィのポットスチルの高さは5.14メートルと、オスのキリンの、 成獣の背丈とほぼ同じ。ネックが長いため、蒸留過程で還流が起きやすく、フルーティーでフローラルな成分を抽出できるという。同時に雑味も少なくなり、バランスの取れたウイスキーになるようだ。これなら、ウイスキーを飲みつけない女性でも気軽に楽しめるはず。
グレンモーレンジィは日本でこそ知る人ぞ知る存在だが、スコットランドではウイスキー業界以外からも一目置かれる存在だ。その理由の一つが樽熟成に対する思い入れの強さ。樽に使うホワイトオークを厳選し、2年かけて乾燥。それらをバーボンのメーカーに貸し出して熟成に使ってもらい、余分なタンニンを取り除く。その過程を経ることで、グレンモーレンジィ用の樽になる。しかも、通常はその樽を3回以上使うところ、2回しか使わない。バーボン樽特有のバニラのニュアンスを最大限に引き出すため。あの滑らかな口当たりは、そうすることで実現できたのだ。さらにオロロソシェリーやペドロヒメネス、ルビーポート、そして極甘口のソーテルヌワインの樽などで追熟するカスク ・フィニッシュも、同社がいち早く取り組み始めた。そうした試みの多くに、世界屈指のウイスキー・クリエーターとして知られ、グレンモーレンジィと同社が買収したアードベッグの最高蒸留・製造責任者を務めるビル・ラムズデン博士の手腕が反映されている。それまでのウイスキー製造の常識を覆し、新しいウイスキー造りのトレンドセッターとしてもグレンモーレンジィは注目を集めているのだ。
「グレンモーレンジィにとって、日本は最もエキサイティングでダイナミックな市場の一つ 」と、マクレー氏は強調する。その理由として、次の3点を挙げた。一つ目が、日本の消費者が他の市場と比べて、ウイスキーに関して洗練された知識を身につけていること。「ですから、グレンモーレンジィの品質向上にかける熱意を直感的に理解してもらえる」。二つ目が日本のクリエイティブな文化が自分たちのクリエーションを刺激してくれるということ。「例えば2021年には、 グレンモーレンジィ18 年のラベルやパッケージのデザインをフラワーアーティストの東信さんとコラボレーションしました。もちろん、ラムズデン博士を含めて私たちは世界中にファンの多いジャパニーズ・ウイスキーからも様々なインスピレーションを得ています」。そして、三つ目として優秀なバーテンダーが日本各地にいることを挙げた。「彼らがシングルモルトの魅力を一般の人に伝えてくれる」とマクレー氏。実際、来日のたびにバー巡りが大切なルーチン になっていて、ウイスキーの魅力を日本で再発見することも多いという。
「『マリ・クレール』の読者のような知的好奇心の旺盛な女性にこそ、グレンモーレンジィを楽しんでほしい」とマクレー氏は話す。香り、味わい、そして時を重ねた熟成感……。グレンモーレンジィが大切にしてきた価値観は、『マリ・クレール』読者の洗練されたライフスタイルとも重なるからだ。そして、カクテルのレシピの紹介やコラムを掲載したホームページ(https://www.mhdkk.com/brands/glenmorangie/sp/)を特設したり、様々なイベントを開催したりして、今後、グレンモーレンジィを楽しむための入り口をさらに充実させていきたいという。グレンモーレンジィ未体験の人にはまず一口でいいから味わってもらいたい。エキゾチックなフルーツや花の芳醇な香りとスムーズな味わいは、あなたのシングルモルト観 を良い意味で変えてくれるはず。そのためには五感を全開にして、しかし、リラックスして楽しんでほしい。「『マリ・クレール』の読者の期待をグレンモーレンジィは裏切らないはず」。笑いながら、そう話し、マクレー氏は次のプロモーションの場となる大阪へ旅立った。
グレンモーレンジィ蒸留所 1843年、ウィリアム・マセソンがスコットランドのハイランド 地方に設立。伝統的な製法を継承しつつ、革新的なウイスキー造りに取り組み、これまでにインターナショナル・ウイスキー・コンペティションやインターナショナル・スピリッツ・チャレンジなどで数多くの受賞歴を誇る。1997年にアイラ島にあるアードベッグを買収し、2004年からモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンの 傘下に入り、グローバルな活動を展開している。
キャスパー・マクレー氏 ザ・グレンモーレンジィ・カンパニー社長兼CEO。2018年から グレンモーレンジィとアードベッグのマーケティングとコマーシャルチームの責任者を務め、今年7月3日より現職。20年以降7倍に成長したeコマース事業をさらに強化。グレンモーレンジィでは、ファッション・フォトグラファーのマイルズ・オルドリッジを起用してブランド・キャンペーンを展開したり、ボトルのデザインやラベルをモダンな雰囲気のものに変えたりして、より幅広い層に受け入れてもらえるようイメージの刷新に取り組んでいる 。
商品概要
商品名:グレンモーレンジィ オリジナル
容量 :700ml
価格 :¥5,950(税別)
text: Naohiko Takahashi
MHD モエ ヘネシー ディアジオ
Tel: 03-5217-9731
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