浦浜アリサが聞く「SHIMA」奈良裕也が独立しない理由〜後編〜
俳優・モデルとして活躍する浦浜アリサさん。4歳から芸能活動をスタートし幼い頃からさまざまな経験を通して、社会に触れてきたアリサさんが、自身の知的好奇心をキャッチした、コト、モノ、人、企業、ブランド......などを深掘りしていく連載「シン・コウキシン(新・好奇心)」。前回に引き続き「SHIMA」でアートディレクターを務めるかたわら、ファッション誌、カタログ、ショー等でヘア&メイクアップアーティストとして国内外のファッショニスタやセレブリティからの指名を数多く受ける、奈良裕也さんとの対談後編をお届けします。
前編では、奈良裕也さんの半生を振り返る、まさに”深掘り”な対談となりました。後編では、2年目を迎えた「SHIMA」の新規事業「PICKY THE SHOP/BAR(ピッキー ザ ショップ/バー)」のこと、2018年にプロジェクトが発足し、22年の12月に4回目の開催を迎えた、世界に誇る優れた日本の美容師・美容室を選出するアワード『KAMI CHARISMA(カミカリスマ)※』について伺います。
※KAMI CHARISMA
専属の総合審査員たちが合計7項目を「カミカリスマ」の選定基準とし、数値化した正当な評価で選出。7つの視点から総合的に審査が行われ、その基準をクリアした美容師・美容室をベストオブ髪カリスマとして選出。厳密に同一の選定基準に基づいて審査するために、調査員が事前に幅広い分野の方々や美容関係各社からも情報収集を行っている。
「PICKY THE SHOP/BAR」が意味するもの
浦浜アリサ(以下浦浜):この「PICKY THE SHOP/BAR」(以下PICKY)も2年目を迎えましたね。私もプライベートや撮影で何度も訪れていて、お世話になっています。なぜ “バー”だったんですか?
奈良裕也(以下奈良):「SHIMA」のスタッフがここに来た時に、ファッション関係や芸能関係をはじめ、美容以外の世界にいる人、「SHIMA」という美容室以外の人たちとも交流を持ってほしいという思いを込めてですね。いろんな人(会社)の考え、世の中の考えを得られるし、「私たちはこう思っていたけど、他の人から見たらこう思われてるんだ。ちょっと考え方変えなきゃ」と気付けて自分にとってプラスになるかもしれないから。
浦浜:仕事場以外での一面を見ることって、実は私たちの仕事にはすごく大事ですよね。私が雑誌に出始めて上京した時は、まだ未成年だったので、成人した先輩たちがお酒の場で交流が生まれて、そこで仕事やプロジェクトが誕生するのをたくさん見てきました。寡黙な巨匠や、大先輩すぎて近寄りがたかった方が「普段は意外とこんなに気さくな人だったんだ」ってわかって、急速に仲良くなったり。そういう関係になれるのがすごく羨ましかった。20歳になり、年齢や立場を超えて距離が近くなれる世界に、やっと私も入れる!と思っていたら、当時みんなが憧れて賑わっていた遊び場は次々と無くなってしまった。だからここがオープンした時、あの時代の復活を見た感じがして嬉しかったです。
奈良:夜に出かけるのが苦手なスタッフもいるから全員にそうしろとは言わないし、「夜飲みに行くのが古い考えだ」と言われたらそれまで。
他にもやり方はあるし、「あなたはあなたの手段を見つけて頑張りなさいよ」って思うけど、コミュニケーションを取るひとつの手段として、こういう“バー”の形があっていいと思う。
浦浜:品行方正は大事だけど、“お酒の場=やんちゃで派手な人がいる”ってイメージは全然違うよね。公私にわたって、スマートに活用できるものだと思っています。「SHIMA」の社長、嶋香緒里さんと奈良さんの頭の中を具現化したような「PICKY」は、本当にお気に入りスポット。ちなみに香緒里さんと奈良さんの関係性も面白いよね。もともと奈良さんのアシスタントだった方が、今や自社の社長。
「SHIMA」社長の香緒里さんとの出会い
奈良:そう。最初のアシスタントが、香緒里(現・SHIMA社長)だった。これも運命だよね。巡り合わせというか。ちょうど僕がデビューして売り上げが少し上がってきた頃に、「奈良、そろそろアシスタント必要でしょ?」って店長に勧められて。「あ、一番面倒くさいの俺に振ってきた」と思った。(笑)
浦浜:そうよね!(笑)。創業者の娘さんが自分のアシスタントに。
奈良:でも全然気にしなかった。結構性格はフィットしてるし、やるからには社長の娘でも関係ないから、怒るときは気にせずに怒ってた。
浦浜:今、香緒里さんとの関係性ってどんな感じですか?
奈良:何も変わらない。友達感覚でもあり、尊敬もして唯一認めてる人。お互い尊敬し合ってわかり合っているから、ダメなものはダメとはっきり言い合える。人に「会長の娘だよ」と言われると確かにと思うけど、気にしたことはないね。