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クリステン・スチュワートがダイアナ元妃になりきった、運命の作品に込めた思いとは?

弱冠12歳で出演した映画『パニック・ルーム』(2002年)でその才能を強くアピールし、『トワイライト』シリーズで、確固たる地位を築いた女優のクリステン・スチュワート。今年で32歳になった彼女が最新作で演じているのが、没後25年の現在でも世界中から愛される英国のプリンセス、ダイアナ元皇太子妃だ。この作品で、アカデミー賞の主演女優賞にも初めてノミネートされたクリステンに、ダイアナ元妃、そして自分について語ってもらった。

マリ・クレール 0929号 kristen stewart クリステン・スチュワート

「監督は私をキャスティングすることに全く迷いがありませんでした。会話をしたり、私に台本を読ませたりなどもせずに、私ならできると彼は確信していたのです。クレイジーですよね」と振り返る、女優のクリステン・スチュワート。彼女は、10月に日本で公開される映画『スペンサー ダイアナの決意』で主役のダイアナ元皇太子妃を演じている。

20歳で英国王室のチャールズ皇太子(当時。現国王チャールズ3世)と結婚し、一瞬にして世界中の人々を虜にしたダイアナ元妃。2人の息子を育て、人道支援活動に心を注ぎながら、36歳の若さで交通事故に遭い、この世を去った。本作は、1991年にクリスマス休暇を過ごしていた彼女が、その後の人生を変える決断をした激動の3日間の出来事を描いた映画。

マリ・クレール クリステン・スチュワート

クリステンは伝統と格式に縛られた英国王室の中で孤立し、孤独の闇を深めていくダイアナ元妃の姿を見事に演じきった。普段は、長い時間をかけて役作りをすることはないと言うクリステンだが、今回は方言指導者のレッスンを受け、英国人らしいアクセントも正確にマスター。劇中のクリステンは、実在したダイアナ元妃の仕草、眼差し、そしてアクセントも見事に再現し、周囲を唸らせた。

「ダイアナ妃が話す映像を繰り返し見て、何度も注意深く聞いていたら、彼女のある言葉に鳥肌が立ち、とても影響を受けました。彼女の話し方は、カジュアルでありながら、情熱的で聞く人の気持ちを和らげ、とても魅力的です。ダイアナ妃が亡くなった時、私はまだ7歳で、バッキンガム宮殿の前の花や、もの悲しい雰囲気は覚えていますが、それ以外は知らないことばかりでした」

クリステンは、2002年に子役としてジョディ・フォスターと共演した映画『パニック・ルーム』で脚光を浴び、その後、『トワイライト』シリーズでヒロインを務めて、世界的スターにまで上り詰めた。幼い頃から数々の作品に出演し、演技力を磨いてきた彼女でさえ、この作品への出演はチャレンジだったと語る。

「あのダイアナ妃を演じるのは怖かったかと聞かれると、答えはイエス。でも、演者として尻込みはしたくなかった。とても大変な役だと分かっていたけれど、挑戦することを避けて通る人間にはなりたくなくて。私は長年、俳優を続けてきて、頂点に到達することが可能なのか挑戦してみたいと思ったんです。もしも頂点を目指さないのならば、この仕事を続けている意味はないんじゃないかしら?」

クリステンの大いなるチャレンジは、この作品で見事に結実し、その素晴らしい演技力で第94回アカデミー賞主演女優賞にもノミネートされている。

「私はこの映画の撮影中、毎日、一皮も二皮も剝けていった気がします。それまでの私はとても過敏な人間でしたが、この作品にトライしたことで新たな自信が持てました」

10代にして世界的な人気女優となったクリステンは、大勢のパパラッチに連日連夜、追いかけられていたダイアナ元妃と自分の姿を重ねる部分もあるのだろうか?

「私も制御不能な感覚に陥った時期があります。ダイアナ妃にとってはそれが人生を左右する決定的な要因になった。さらに彼女の場合は、本来の自分ではないプリンセスとして、自分にさえ噓をつき公の場に立たなければならなかったし、プライバシーを守る権利さえなかったんですよね。私が写真を撮られるのとはまた違う理由なのです」

プライバシーを侵害されただけでなく、本来のダイアナ元妃の姿を知る人がほとんどいないという事実がとても悲しいことだと話すクリステン。彼女自身、長らくマスコミに追いかけられている存在であるものの、それはいつものことだと言う。

「私は好きなように自己表現できるし、批判も賞賛も自分のコントロールの範疇。今すぐに外に出て、私はこんなことをしている!こんなことを考えている!こんな人と付き合っている!と自由に伝えることもできるから」

そんなタフなマインドを持つクリステンは、自らがバイセクシュアルであることも公表している。2021年には、3年来のパートナーの脚本家、ディラン・マイヤーとの婚約も発表した。

マリ・クレール クリステン・スチュワート

「私はこの作品に出演する前から子供が欲しかったのですが、ウィリアム王子とヘンリー王子の母親を演じることができて本当によかったと思います。ダイアナ妃の最も強い部分は、母親だったこと。彼女の人生のさまざまな部分が不安定だったこととは対照的に、2人の愛する息子の母親である事実を揺るがすものは何もなかったのです」

結婚も決まり、母親にもなりたいと語るクリステン・スチュワートは今後、さらなる大きな飛躍を遂げそうだ。

『スペンサー ダイアナの決意』
10月14日(金)、TOHO シネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
出演: クリステン・スチュワート、ジャック・ファーシング、ティモシー・スポール、サリー・ホーキンス、ショーン・ハリス
監督: パブロ・ラライン
配給: STAR CHANNEL MOVIES
© 2021 KOMPLIZEN SPENCER GmbH & SPENCER PRODUCTIONS LIMITED
https://spencer-movie.com/#

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