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芸術家ザリア・フォーマンと巡る、「ヴァシュロン・コンスタンタン」の美意識に触れるニセコへの旅

話題の「SOMOZA」で地場の食材を愉しむ

2泊3日のイベントも終盤にさしかかり、その日の夜は、地場の食材を使ったイノベーティブな料理が話題となっている「SOMOZA」(倶知安町)でのディナー。ニセコの大自然の中にひっそりと佇む隠れ家的な日本旅館「坐忘林」を手がける英国出身のオーナーが新しく手がけるゴージャスなダイニングだ。栃木県大田原市から移築した築150年の古民家を改装し、オーナーの集めた美術品やアイヌの民芸品などを展示するギャラリーも併設されている。

コースの料理は、野菜の皮や芯などをサイフォンに似た専用の器具で客の前で煮出して作るベジブロスから始まった。そして真狩(まっかり)村名産の百合根を使ったムースとタラバガニのサラダ、さらに鱈の塩麹焼きとアイヌの伝統料理で米やきびなどを粉にして練って作ったアイヌシト、そして白老黒毛和牛ヒレ肉の炭火焼きと続いた。山芋、ソバ粉、胡桃、卵など縄文人が食べていたと思われる食材を使った「縄文パン」が付け合わせだ。

料理を手がけたのは、本格的なフレンチを学んだ地元・倶知安出身の佐藤朝男シェフ。「この地と深いかかわりのある縄文やアイヌの文化からインスピレーションも得ながら、現代風に解釈したフレンチを提供していきたい」。ペアリングで供されたワインも、スパークリングからフルボディのピノノワール、そしてデザートワインまですべてが北海道産で、地場の食材の風味を引き立てた。もちろん、おいしい。もっとも、おいしいだけではない。日本の中でも北海道、北海道の中でもニセコ、ニセコの中でもSOMOZA、SOMOZAでも佐藤シェフにしか作ることのできない一期一会の料理。一皿一皿がしっかりと記憶に残る味なのだ。

フォーマン自身も大きな円卓でゲストらと、供される料理やこれまでのアクティビティーの思いで話に花を咲かせた。アジア各地から集まったプレスたちも、ニセコエリアでの体験を通してヴァシュロン・コンスタンタンの演出する優美な世界にどっぷりと浸り、「One of Not Many」のスピリットを文字通り体感したようだ。

また、ここに戻ってきたい――。すべてのプログラムを終えて別れ際、フォーマンはそう話した。実は彼女のパートナーはプロのスノーボーダーで、今回の彼女のニセコ遠征をしきりと羨ましがっていたという。「『戻ってきたい』じゃなくて、『家族と一緒に戻ってくる』というのが正確な表現ね」。その言葉を残して、フォーマンは自然の美しさと険しさ、そして脆さを見つめる新しい創作の旅へと飛び立っていった。

text: Naohiko Takahashi

Profile

ザリア・フォーマン

米国人芸術家。世界でも有数の遠隔の地をベースとし、荘厳で巨大な作品を通して、変わりゆく風景が及ぼす影響を表現。献身的で妥協を許さない彼女は、2023年9月に“One of Not Many”キャンペーンの新しい顔となり、同キャンペーンの一員である写真家で探検家のコーリー・リチャーズと共にメゾンの旅の精神を表現する「オーヴァーシーズ」コレクションを体現する。

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