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40代モデル浜島直子さんの「服」をめぐるストーリー

書くことは苦しいけれど続けていきたい

「1冊目の『蝶の粉』を書き終え、今までパソコンで書いていたものが紙に印刷され、掌の中の一冊の本になった時、すごく不思議な感覚になったんです。何が正解かわからなくて迷子になりながら書いていたのですが、本になった姿を見たら、『ああこれが正解だったんだな』と不思議とすんなり思えました。本の内容を決めるのは読み手で、読んでいただいて初めて本が完成すると思っているのですが、書いたものが自分の手を離れて人の手に渡る、という感覚も初めてのものでした。あの時の感覚や達成感を味わえるならまた頑張りたい。そう思って書き始めたのですが、書くことは本当に難しく、なんでこんなこと引き受けちゃったんだろうって何度も思いました(笑)」

浜島直子 けだま

書けなくなった時は犬の散歩に出たり、YouTubeを見たり、家族や物書きの先輩たちにアドバイスを仰いだりしながら、約2年の歳月をかけて書き上げた。小学校3年生の息子を持つ母親でもある浜島さん、仕事や育児との両立はどうしていたのだろう。

「『蝶の粉』を書いていた時はまだ息子に手がかかる時期だったので夜中に書いたりしていたのですが、小学校に入学して習い事も始めたので、自分の時間を確保できるようになりました。締め切りから解放された今は、ギターを始めたんですよ。新しいことへのチャレンジは、難しいけれど楽しい!」

書くことへの挑戦は続けていきたいと言う浜島さん。「やめたいやめたいと言う割にはやめたくないんです(笑)。なんでですかね。せっかく新しい世界に踏み入れることができたので、もう少し続けてみたいなと思っています」

地元の北海道から20歳で上京。モデルとして活躍しながら自分の手でキャリアを切り開き、結婚、出産、家族との別れなどを経験してきた40代の今、新たなステージ、書き手としての扉は開かれたばかり。浜島さんの記憶のクローゼットを一緒に開けたような感覚になるエッセイ「けだま」は、読む人にとっても、新しい扉を開くきっかけになるだろう。

photo: Tomoko Hagiwara text: Eriko Azuma

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Profile

浜島直子

1976年、北海道生まれ。モデル。愛称「はまじ」。18 歳でモデルデビュー。「LEE」では 10 年間専属モデルを務めるなど、現在も様々な女性誌で活動中。またTBS「世界ふしぎ発見!」では 12 年間ミステリーハンターとして出演する他、NHK「あさイチ」、bayfm「Curious HAMAJI」など、多くのテレビ・ラジオ番組にも出演している。〝あべ はまじ〞名義で絵本『ねぶしろ』シリーズや、初の随筆集『蝶の粉』 も出版。今年4月に上梓した新刊『けだま』(大和書房)では、服を入り口に、日常の何気ない風景を描いた22篇の物語でも、瑞々しい筆致が光る 。

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