前田敦子が語る、藤ヶ谷太輔との共演映画『そして僕は途方に暮れる』。“自分と向き合わない人とは関わらない”
2023.2.6
2023.2.6
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──映画の中の、ご自身が好きなシーンや印象的なシーンについて教えてください。
主人公の菅原くんの夢の中のシーンです。
舞台でも、この場面だけはちょっとホッとするというか、非現実的な感じがあって演じていて楽しかったですね。映画でのこのシーンはけっこう唐突に出てきますが、やっぱり非現実的でちょっとだけふざけられるシーンがきたなと。ですから、舞台のときと同じようにホッとしました。
──けっこう、ずっと張り詰めた場面が続く作品ですよね。
そうなんです。でも、このシーンだけは舞台でも映画でも、ちょっとホッとできる。夢の中なので、唯一オーバーに演じることもできて。舞台で演じている時も楽しかったですが、映画ではより生々しく落とし込まれ、さらに舞台にはなかった演出が付け加えられています。そういう点も好きなシーンですね。
──主人公の菅原くんが自分と向き合おうとしないところに、観客としては「大人なんだから向き合おうよ!」という思いを抱いたのですが、舞台挨拶のパネルに「共感と反感の120分」とあって、本当にそうだなと思いました。この作品に関して、前田さんは反感と共感のどちらを強く感じましたか?
うーん……主人公に完全に共感はできないですね……。
「いやいや、それはないでしょう、なんでそうなるの」という感じではあります。ただ、人間としては理解できる部分もあります。意外と人間にはそういうどうしようもないところもいっぱいあると思いますね。
──もし、身近に菅原くんがいたら、前田さんは彼に向き合いますか? それとも、「じゃあもういいよ」と突き放しますか?
向き合わないと思います、私は。「この人は変わらないんだろうな」と思っちゃいますね。ただ、菅原くんみたいな人を見て、自分が変わる部分ってすごくあると思うんですよ。反面教師というか、彼を見ることで自分の中の反省する部分を見つけてしまう。だから、菅原くんみたいな人が目の前に現れたら、彼自身と向き合うというよりは自分と向き合ってしまうかもしれないですね。
──今の「向き合いません」という一言は気持ちよかったです。
そうですね。年々、そういう人とは関わらないのが一番だなと思うようになりました。
──菅原くんというキャラクターは客観的に見ていてもイライラしてしまうので、撮影現場は緊迫した空気だったかと思います。そういったシーンの撮影後は、どのような方法でリラックスしていましたか?
けっこうギュッと詰まったスケジュールで、主役以外はみんな5日間ぐらいでガッと集中して撮影したんです。だからなのか、あまり「こうやってリラックスした」というようなことは覚えてないですね。合間にリラックスしながらというよりは、「集中してやれるところまでやっちゃおう」という感じだったと思います。
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