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'『シングルオールザウェイ』より ルームメイトのニック(写真左・ファイリーモン・チェンバース)と里帰りしたピーター(マイケル・ユーリー)'

『シングルオールザウェイ』より ルームメイトのニック(写真左・ファイリーモン・チェンバース)と里帰りしたピーター(マイケル・ユーリー)

2021年のクリスマスに見たいオススメ映画①『シングル・オール・ザ・ウェイ』

いよいよクリスマスも間近。家族、友人、恋人…いろいろな人間関係が交錯するこの季節にぴったりの映像作品を紹介します。まずは、Netflixで今月配信開始された新作ラブコメディーから

息子の恋を応援する家族を描く

日本人がお正月に帰省するように、欧米ではクリスマスを実家で過ごすのが“当たり前”なんだなと、向こうのクリスマス映画を観るとそう思う。そして結婚していても不思議じゃない年齢の独身者たちは、将来を約束したパートナーを伴って帰り、「いつまでひとり身でいるつもりなんだ」という親や親戚の攻撃から解放されたいと願うのも、世界共通のようである。

近年では、LGBTQへの理解が深まりつつあることを背景に、同性カップルが里帰りする映画が増えてきた。Netflixオリジナルの新作『シングル・オール・ザ・ウェイ』もそのひとつである。

クリスマスが近づいたある日。L.A.で広告マンとして働くピーターは彼氏ができてご機嫌だ。相手のティムが心臓外科医の超ナイスガイだからでもあるが、来たるクリスマスには一緒に帰省して、シングルでいることを心配する家族たちを安心させられるから。

ところが、ピーターの親友でルームメイトのニックが、ティムの妻を目撃してしまう。バイセクシャルはいいけど既婚者とはつき合えないとティムに別れを告げたピーターだったが、ひとりで帰ればまた家族にとやかく言われるからと、ニックに恋人になりすましてもらい、一緒に里帰りすることになった。

ニューハンプシャーの実家では、両親も親戚もピーターとニックを大歓迎。しかしふたりが恋人ではないことはフツーに見破られていて、息子が故郷に舞い戻ることを願うママは、ピーターに地元のジムに勤めるイケメントレーナーとデートしてみないかと熱心に勧めるのだった。

ピーターの母(写真中央・キャシー・ナジミー)は息子にジムのトレーナー(写真右・ルーク・マクファーレン)を紹介する

ピーターとニックの、「初恋かよ!」とツッコミを入れたくなるほど恋に臆病な姿は、我が身に重ね合わせてキュンとくる人が少なくないはず。また、当人たちよりもふたりの本心を見抜いて一所懸命応援する家族の様子は、あまりにも善良で平和でほっこりする。特にピーターの姪っ子姉妹がキュートで、叔父さんの恋のために作戦を練って奔走する姿はこの作品の萌えポイントだ。

叔父さんのために奮闘する姪っ子姉妹(写真左からマディソン・ブリッジズ、アレクサンドラ・ビートン)

現実の親族は固定概念や世間体を盾に抑えつけてきがちなもの。特にLGBTQの受け止め方は人によってさまざまだからなおさらだ。そういう意味で、この映画はファンタジーとも言えるかもしれない。

本作の監督であるマイケル・メイヤーは米国を代表する気鋭の演出家・映画監督である。2006年にブロードウェイで初演されたミュージカル『春のめざめ』でトニー賞を受賞。メトロポリタン・オペラでも『リゴレット』『椿姫』といった古典の設定を現代に置き換える斬新な演出で話題をさらった。

日本でも、2017年に柚希礼音主演でウィリアム・シェイクスピア作『お気に召すまま』を演出したこともあり知名度が高い。先鋭的かつハイブロウな演出で観客の心に爪痕を残してきたクリエイターが、意外なほど素直な視線で人としての幸せは何なのかを語りかけている。あったかい気持ちになれること間違いなしの作品だ。

Netflix映画『シングル・オール・ザ・ウェイ』独占配信中

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香月友里

かづき ゆり。フリーライター。出版社の編集者を経てライターに。同居する5匹の犬猫たちにお仕えしながら、映画とドラマと演劇とJ-POPにどっぷり浸る日々を送る

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