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【田中杏奈の水引細工】水引に宿る日本古来の文化への眼差し

基本の結びを続けることで磨かれる感性

田中の手から生み出される水引細工は、草花や鳥などいずれも繊細で美しい造形や色合いを持つ。自然とのかかわりや日本の伝統文化に思いを寄せる気持ちが、ナチュラルに形として表れたものだ。

椿の花、縁起のよい長寿亀、しめ飾りなど生活のなかのさまざまな場面を彩る水引細工

また、衣(アクセサリー)・食(テーブルウェア)・住(インテリアや季節の行事)のさまざまな場面で使えるミニマルな商品も数多く創作。水引を現代の暮らしの中へ軽やかに取り入れ、その汎用性の高さも実感させてくれる。

和の雰囲気が漂う水引アクセサリー。素材が紙なのでとても軽やか。Photo by Chihiro Ishino

水引細工は一見、複雑なように見えるが、技術はそれほど難しくないと田中は言う。何度も繰り返し結んでいくうちに基本の構造が理解でき、その結びの組み合わせをアレンジしていくことで、つくりたい形をつくれるようになるそうだ。大事なのは基本的な練習を続けること。同じ動き、結びを繰り返すうちに、体が覚え、所作が培われ、感覚が磨かれていく。

「同じことを繰り返していると、自然と少しの違いにも気づけるようになります。決まった“型”を繰り返しながら学びを深める茶道などと同じです。私は今でも毎日のように『あわじ結び』という基本の結びをしていますが、始めた頃の未熟さが今ははっきりとわかります。大事なのはひたすら続けること。続けることでしか見えないものがあるのです」

フレームに入ったものやアートボードなど水引細工の飾り方はさまざま。ギフトにも最適

Profile

田中杏奈 Anna Tanaka


1989年兵庫県淡路島生まれ。大学卒業後は広告会社に就職。結婚・出産を機に水引と出会う。独学で学び作品を発表。2017年に水引ブランド「hare(ハレ)」を立ち上げ、現在は「水引結び教室 晴れ」も主宰。水引講師を務めるかたわら、企業の販促物や商品開発、企業広告・雑誌などのアートワークも手がける。著書に「暮らし・行事・ハレの日を結ぶ 水引レシピ」(2018 グラフィック社)、「水引で結ぶ二十四節気の飾り」(2019 日東書院本社)、「衣食住を彩る水引レシピ」(2021 グラフィック社)、「飾る・贈る・装う 花を結ぶ水引細工」(2024淡交社)。
https://www.mizuhikihare.com/

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