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ディオールと女性芸術家たち、その絆の歴史を辿るパリの展覧会へ

フォトグラファー高木由利子の作品

リリアン・バスマン、高木由利子、ジュディ・シカゴ、サラ・ムーン、ニキ・ド・サンファルなど、数多くの女性アーティストたちとコラボレーションを重ねてきたディオール。この度、そんな女性アーティストとのコラボレーションに焦点を当てた初の展覧会がパリ「ラ ギャラリー ディオール」で開催中だ。

パリ・モンテーニュ通り30番地、ディオール本店に位置する「ラ ギャラリー ディオール (La Galerie Dior)」は、75年前にディオールが誕生しアトリエとして歴史が刻まれた神話的な場所だ。そこは初代クリスチャン・ディオールからマリア・グラツィア・キウリに至るまで、歴代デザイナーたちのアーカイブが一堂にそろい、芸術とオートクチュールのエスプリを体感できるユニークな美術館として知られている。

1947年にブランドをスタートしたクリスチャン・ディオールは、服のデザインをする以前から芸術に対する強い情熱を持ち、様々なアーティストと親交を深め、アートギャラリーのオーナーでもあった。またクチュリエとして、アート、音楽、絵画、建築などから多大なインスピレーションを受け、豊かな女性のための数々のスタイルを創造してきた。その遺産は、今日のマリア・グラツィア・キウリに至るまで脈々と受け継がれ、特にメゾン初の女性デザイナーとなる彼女は、女性アーティスト達との関係を強固にしてきた。

ディオール 高木由利子の作品
高木由利子の作品

日本を代表する写真家・高木由利子によるオートクチュール作品の撮り下ろしは、シャッター速度を8秒に設定し、最初の4秒を静止で、次の4秒をゆっくり動いて撮影することにより、服が持つ動きと、デザイナーと職人たちが服に込めたパッションを一枚の写真に写し出す、次元を超えた作品だ。

ディオール エリナ・ショーヴェによる白いコットンドレスのトワル上に刺繍を施した作品
エリナ・ショーヴェによる白いコットンドレスのトワル上に刺しゅうを施した作品

女性画家フリーダ・カーロへのオマージュと題した2024年クルーズコレクションでは、メキシコ人アーティスト、エリナ・ショーヴェによる、白いコットンドレスのトワル上に赤い刺しゅうを施す作品が話題となった。フリーダの有名作品のモチーフである心臓や「HOPE(希望)」、「Viva mi Vida(美しき人生)」などのメッセージが強く刻まれ、赤の糸は血や情熱を表現する力強い色として、女性の真の強さを訴えるエモーショナルなドレスだ。

ディオール ジュディ・シカゴの作品
ジュディ・シカゴの作品

アメリカ人アーティストでありフェミニストであるジュディ・シカゴによる2020年のオートクチュールでのコラボーレーションは、ベルベットの裏地にアップリケと刺しゅうが施された巨大な作品だ。「神は女性だろうか?」「暴力はあるのだろうか?」など、ドキッとする言葉に圧倒される。

ディオール カテリーナ・ジェブの作品
カテリーナ・ジェブの作品
ディオール ニキ・ド・サンファルのオブジェ
ニキ・ド・サンファルのオブジェ

その他リリアン・バスマン、マヤ・ゴデッド、コンスタンス・ギセ、カテリーナ・ジェブ、エヴァ・ジョスパン、ブリジット・ラコンブ、クロード・ラレン、サラ・ムーン、ブリジット・ニーデルマイル、シュルーク・ライエム、ニキ・ド・サンファルなど、しなやかで情熱的な彼女たちの作品は、マリア・グラツィア・キウリが大切にしているパワフルな女性同士の団結心を象徴するように、絶えず進化し続けるメゾンの創造性へのオマージュとして、印象深い力強さを与える。

ラ ギャラリー ディオール
11 Rue Francois 1er 75008 Paris
2024年5月13日まで
https://www.galeriedior.com/ja

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