映画『ヴィレッジ』横浜流星と黒木華にインタビュー。生きづらさを抱える人たちへのメッセージとは?
2023.4.19
“魂を揺さぶる、いまだかつて観たことのない新境地”と、横浜流星の凄まじい演技力が話題の映画『ヴィレッジ』(4月21日公開)。監督は、日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した『新聞記者』(映画版2019、ドラマ版2022)、『ヤクザと家族 The Family』(2021)、そして大ヒットを記録した『余命10年』(2022)などの藤井道人。ある閉鎖的な村を舞台に同調圧力、格差社会、若者の貧困といった現代日本のリアルな闇をあぶり出していくサスペンス・エンタテインメントだ。
どこにも居場所を見つけられずに絶望の日々を送る主人公・優を演じた横浜流星さんと、主人公と共に光を探そうともがく幼馴染・美咲を演じた黒木華さんに、日本で生きづらさを抱えながら懸命に生きる人たちに送りたいメッセージを伺った。
辛い経験があるからこそ、人のあたたかさを感じられる
──映画の中で、黒木さん演じる美咲が「ずっと一人で戦ってたんでしょ? 私には優くんの気持ちがわかるよ。もう大丈夫。これからは私がいるから」と、横浜さん演じる優に語りかけるシーンがとても印象に残っています。お二人は初共演ですが、どのような気持ちで撮影に臨みましたか?
横浜流星(以下、横浜) 黒木さんが全部受け止めてくださって、包み込んでくれました。主人公・優はずっといじめに遭っていて、人間として生きていなかった。そんな中で美咲と出会い、唯一人間として生きられて、すごく心が救われたシーンでした。
割と早い段階での撮影だったので、心が追いつけるだろうか……という不安はありましたが、実際にはそんなことは全くなくて。早い段階であのシーンを撮れたことによって、より優として生きることができたし、その後の美咲とのシーンが濃くなって、もっと深いところまで距離が近づけた気がします。
優は美咲と居る時間だけは感情を放出できる。それ以外は我慢して我慢して過ごしてる。優の感情の蓋を開けてくれたのは美咲なので、このシーンはすごく印象に残っています。
黒木華(以下、黒木) 優の悔しさや切なさ、寂しさは美咲の中にもあったと思うんですよね。美咲の言葉は、もちろん優にかけたものだけど、自分に向けても語りかけている言葉な気がして。美咲が優の支えであるのと同じように、美咲にとっての支えは優だと思います。「本当に安心してほしいし、大丈夫だよ」という気持ちを込めて撮影に臨みました。
©️2023「ヴィレッジ」製作委員会
──美咲のセリフはまるで私にも言っているかのように思えて、思わず号泣してしまいました……。あのセリフに救われる人はきっとたくさんいると思います。
黒木 そう思ってもらえたならよかったです。監督にも伝えておきます!
──あのシーンはとてもリアルでしたが、お二人にも辛い経験をした時に支えられた経験や言葉などはありますか?
横浜 まだどんな感染症なのかも分からないという時に、声をかけてくれた人たちにあたたかさを感じられました。逆に興味本位で聞いてるんだろうなって人もいて、いい意味で人間関係を整理できた時間でした。
黒木 生きていたら辛いこといっぱいありますよね。私はたまに「大丈夫」と自分で自分に言ってあげます(手で胸をトントンしながら)。心理学であるんですけど、一定のリズムで自分に言ってあげると心が落ち着くんですって。