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京都で味わう夏の風物詩「辛子豆腐」【町家宿おかみの、たびする京都くらす京都。】

辛子豆腐を2つに切るとまん中に辛子と海苔が

京都の洛北・紫野で町家宿「karigane(かりがね)」を夫とともに営む下岡莉香さんが、地元ならではのとっておきの京都情報をレポートする好評連載。立秋をむかえ、暦のうえでは秋。しかしまだまだ暑い日が続き、冷や奴くらいしか喉を通らない……そこで今回紹介するのは、この時期しか食べられないという「辛子豆腐」です。

ピリッとくる辛子と海苔の香りが絶妙にマッチ

京都の夏の風物詩ともいえるのが「辛子豆腐」。7月から8月にかけての暑い時期、お豆腐屋さんの店先にならびます。こんもりとまるいドームのような形が特徴で、お豆腐のてっぺんには青のりがまぶしてあり、中心には和辛子が据えられています。

辛子豆腐で一献

辛子豆腐の発祥について、残念ながら確たる情報にあたることはできませんでした。京都が発祥という説もあるようですが、いまのところは、戦後に名古屋の豆腐職人さんが生み出したものという説が有力なようです。

これは想像ですが、おそらく辛子豆腐が広い範囲で大ブームとなったことがあるのでしょう。その後、全国的には徐々に忘れられていったものの、京都では夏のお豆腐として今なお愛されている、というイメージではないでしょうか。岐阜や石川などでも夏の定番のお豆腐と聞いています。

京都のお豆腐屋さんの多くがこの辛子豆腐を作られますが、今回のものは「とようけ屋山本」さんのご製。お豆腐の中心には、海苔に包まれた和辛子が。嫌味のない滑らかなお豆腐と、ピリッと鼻を抜ける和辛子、ほんのり磯の香りが絶妙です。個人的には、お醤油よりもお塩で召し上がるのがおすすめです。

とようけ屋山本さんは、明治30年創業のお豆腐屋さん

辛子豆腐以外にも、こだわり素材と伝統製法でつくったおぼろ豆腐、柚子の皮を散りばめ固めたお豆腐、青じそ風味のお豆腐など、夏に食べたいユニークなお豆腐がいろいろあります。

左から時計回りに、青じそ、柚子、おぼろ豆腐.j

昨今はキッチン付きの宿も増えてまいりました。次の京都旅行では「京都のお豆腐食べくらべ」なんてのも楽しいかも知れませんよ。

撮影・構成:下岡広志郎

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京豆腐 とようけ屋 山本
住所:〒602-8336 京都市上京区七本松通一条上ル滝ヶ鼻町429-5
TEL:(075)462-1315 FAX:(075)462-1588
営業時間:7:00~18:00 ※正月、お盆以外原則として無休
http://www.toyoukeya.co.jp/

Profile

下岡莉香

しもおかりか 大阪府出身。奈良女子大学卒業後、繊維商社で生地輸出を担当。より活躍できる場を求めて退社後、夫婦で1年5ヵ月44ヵ国世界一周の旅へ。日本文化の奥深さに目覚め、町家一棟貸しの宿kariganeを開業。一児の母。
karigane公式HP:https://rokushou.net/karigane/
Instagram:https://www.instagram.com/karigane.kyoto/?hl=ja

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