夏になると、とかく厳しい暑さが話題になる京都。一方、その暑さのなかに風、水、影、色などがもたらす涼の瞬間をとらえて表現するのが、京都の文化でもあります。 そんな京都の美意識から生まれた和菓子の逸品を、京都の洛北・紫野で町家宿「karigane(かりがね)」を夫とともに営む下岡莉香さんが紹介します。
一年で最も暑い、大暑の候となりました。
今回は、みずみずしく涼やかな夏の和菓子について、代表的な種類と銘菓をご紹介いたします。
【錦玉羹「水のおも」】
こちらは夏菓子の代表的な素材である寒天で作られた、錦玉羹(きんぎょくかん)と呼ばれる和菓子です。まるで水を彫刻刀で切り出したアート作品のようで、見ているだけで夏の暑さが和らぎます。
お銘の「水のおも」は、つまり水面。そこにポトリと静かに小石が落ちたような風景が、みごとに表現されています。冷蔵庫もクーラーもない時代の人々は、こうして夏の猛暑を凌いでおられたのでしょうね。

【半錦玉「青もみじ」】
半錦玉(はんきんぎょく)とは、寒天で作られる錦玉羹に、こしあんを少し足してつくられる和菓子。寒天とこしあんで作られる和菓子の水ようかんを、さらに上品にあっさり仕上げたような味わいです。
ビードロのようにツルっとした錦玉羹に比べると、絹織物のようなサラっとした歯触り舌触りです。

【道明寺羹「なでしこ」】
こちらは道明寺羹とよばれ、もち米を乾燥し荒く挽いた道明寺粉(おはぎなどに使われる)が寒天の中に入っています。寒天のツルっと感に、道明寺粉のモチっと感やツブっと感があわさり、絶妙なハーモニーです。
昨今は、洋菓子のゼラチンが一般化したためか、寒天が苦手だという方もいらっしゃいますが、そんな方にもぜひお試しいただきたい食べ心地です。
