ベトナム、“古都と世界遺産の街”を巡る
2023.8.28
2023.8.28
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ホイアンから一度、ダナンに戻り、翌朝向かったのは、ベトナム中部の都市フエだ。19世紀から20世紀にかけて存在した最後の王朝であるグエン王朝の都だった場所。ダナンからは北へ約100km、車移動なら1時間30分あれば到着する距離にある。
最大の見所は、グエン王朝が栄華を誇った歴史的建造物の数々だ。フォン川を挟んで新市街の対岸にある旧市街には王宮や皇帝廟、寺院などの遺跡が多く残り、その一部が「フエの建造物群」としてユネスコの世界文化遺産に、さらには宮廷芸能である雅楽「ニャーニャック」が無形文化遺産に登録されている。
「フエの建造物群」はとても多く、すべてを見て回るのは困難なので、抑えておきたい場所をご紹介したい。
まず訪れたいのが、旧市街地の中心に広がるフエ王宮。1803年に建てられ、1833年に現在の場所に移されたという歴代皇帝の住まいで、中国の紫禁城にヒントを得た壮麗なデザインが圧巻だ(入場料15万VND)。黄金の装飾や龍の意匠が美しい回廊や、季節ごとに表情を変える木々が立ち並ぶ庭園、歴代皇帝の厳かな霊廟、さらには贅を尽くした劇場などが、広大な敷地内に点在し、当時の隆盛を今に伝えている。とはいえ、ベトナム戦争で甚大な被害を受けた中部の街だけに、多くが修復を経て現在の姿に蘇ったという。敷地内には、「ニャーニャック」を奏でる楽団が出没するので、幸運にも出会えたら、少し立ち止まってその雅な響きを堪能してみて欲しい。
ここを歩いて回ると2時間以上は軽くかかるとされているので、ホテルのコンシェルジュに相談して事前にカートを手配しておくのも一案だ(有料)。
もうひとつは、フエ市内で最も古く、かつ最も魅力的だと言われるティエンムー寺院だ(入場無料)。1601年に建立され、21mにも及ぶパゴダは、今もカラフルな色彩を残している。別名「天女の寺」とも呼ばれ、16世紀に天女の化身とされる老姥(ティエンムー)のお告げが元となり建立されたという伝説が残る。
川を見下ろす高台にあるので、夕暮れ時になると、夕涼みをする人々で賑わう。地元の人々に混ざって、何も遮るもののない空が紅色に染まり、刻々と変化していく様をゆっくり眺めるのも一興だ。
もう一カ所回るなら、ぜひアンディン宮殿へ(入場料5万VND)。ここは、今に残るフエの建造物の中で、最もフランス様式が色濃く感じられる宮殿だ。ヨーロッパの宮殿を感じさせる左右対称の作り、クリームイエローの外壁、そして正面に広がる庭園は優雅の極み。まるで、フランスのどこかにいるような錯覚を起こしてしまいそうな佇まいだ。もともとあった建物を、1917年に12代皇帝のカイディン帝が西洋風に改築し、近代的な宮殿にちなんで名前もフンホアからよりモダンなアンディンに変えたのだという。20世紀初頭のベトナム新古典主義建築を代表する存在として、重要な歴史資料ともなっている。3階建てだが、大きな建物ではないので、ここでは時間をかけて、華やかな壁紙やタイル、窓の意匠など、当時のインテリアデザインをじっくり観察するのがおすすめだ。
いずれの世界遺産も市内中心部に位置しているので、一日でもしっかり見て回ることができる。ぜひ、古都フエの歴史を気軽に楽しんでみてほしい。
フエといえば宮廷料理。料理は小盛りで、皿数は多めというのが特徴。高級食材を使い、見た目も豪華に仕上げる。まさに、食べる芸術。
ベトナムとフランスの幸せな融合を味わうなら、ホテル「ラ レンジデンス フエ」のメインダイニング 「ル・パフューム」へ。海外からの賓客ももてなすという名店。あっさりとした軽やかな味わいの西欧料理。
ブンボーフエは、中太の米麺と、酸味と辛み、旨みが程よく調和した牛肉スープベースのヌードル。とろみのある肉と味わい深い出汁が後を引く。
旅を存分に楽しんだら、喜びの余韻に浸ることもおろそかにしたくない。帰国する最後の一秒まで旅を味わい尽くすために選んだのは、ベトナム航空の深夜便だ。せっかくのビジネスクラスなので、フルフラットで快適に休息を取るべく、万全を期したいもの。ベトナム航空で、ボーイング787愛称「ドリームライナー」などの大型機体を選ぶなら、首都ハノイや最大都市ホーチミンからの国際便搭乗がおすすめだ。今回は、快適な空の旅を最優先するため、あえてフエのフーバイ空港からハノイのノイバイ空港まで移動し、0時20分ハノイ発成田への直行の便に搭乗。夜間飛行でも、ノイバイ空港ではビジネスクラス向けの「ロータスラウンジ」で、寛いだり軽食(といっても、フォーや野菜炒めなどメニューは多彩)をいただいたりしながら待つことができるので、少し疲れを感じ始める旅の締めくくりに快適だ。
半個室でフルフラットになるビジネスクラスはやはり快適の極み。早々に眠りに就きたいところだが、座ってすぐに実感できる「ドリームライナー」の居心地の良さもしっかりチェック。天井が高く客室自体が広々しているだけでなく、窓も大型でシェードがない。エレクトロクロミズムを使った電子カーテンが使われているので、完全に視界が遮られることはない。自ら透過光量を調節でき、最も暗くしても透明度は0にはならない。夜のフライトならもちろん外は真っ暗だが、窓が白いシェードで完全に塞がれるのに比べ、はるかに解放感がある。
飛行機の客室=狭い空間という概念を取り払う、「ドリームライナー」での眠りを堪能したら、待っているのは朝食だ。復路では、迷わずフォーをチョイス。朝日に輝く青い空を眺めながら、雲の上で贅沢にモーニングシャンパンをいただけるのも、フルサービスキャリアだからこそ。飛行機のドアが開くまで、ここはベトナムだ。そんなふうに旅の余韻を長く味わうために、旅の終わりもどうぞ抜かりなく。
(1円=164.28VND 2023年8月25日)
text: Jun Makiguchi
【取材協力】
・ベトナム航空:https://www.vietnamairlines.com/jp/ja/home
現在、ベトナム航空では、今年2023年に日越外交関係樹立50周年を迎えることを記念して、結婚50周年にあたる金婚式を迎える夫婦を対象に、抽選でベトナムへのペア往復航空券が当たる “ゴールデンウェディング アニバーサリー” キャンペーンを実施中。詳しくはこちらまで。
https://meetsvietnam.vietnamairlines.com/staffcolumn/7280/
・インターコンチネンタル ダナン サンペニンシュラ リゾート:
https://www.ihg.com/intercontinental/hotels/jp/ja/danang-city/dadha/hoteldetail
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