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『マリ・クレール』ウクライナの編集者が語る“今、キエフで起きていること”

世界の国々で発行されているインターナショナルマガジンの『マリ・クレール』。ウクライナも、その国の一つだ。現在、ロシアによる侵略を受け、日常生活が送れなくなっている『マリ・クレール』ウクライナ版の編集長など、現地スタッフから、首都・キエフの今を知らせるレポートが届いた。

ウクライナ・キエフのすぐ隣にある都市、イルピンでは破壊された橋を経由して人々が避難。©️Chiris McGrath / Getty Images

開戦1日目、2日目と日々を数える毎日

『マリ・クレール』ウクライナ版の編集長、イリーナ・タタレンコは、彼女たちの身の上に、そして、その母国に今、何が起きているのかを共有し、世界に広めてほしいという。「まるで地獄のようです。どうかウクライナの現状を広めて欲しい。あなた方のサポートが必要なのです」と訴える。

2月21日に行われたロシアのプーチン大統領の演説以来、『マリ・クレール』 ウクライナ版のブランドディレクター、カテリーナ・ラグティナは不安を感じ、SNSを使ってウクライナはNATOに加盟するべきだと訴え続けていた。そして2月23日はオフィスでの仕事を終え、劇場へ観劇に出かけたカテリーナ。そこまではいつも通りの夜だった。しかし、明朝4時、ロシア軍がウクライナへの侵略を開始。彼女は親友からかかってきた電話で起こされ、「戦争が始まった」と告げられたと言う。

『マリ・クレール』 ウクライナ版のブランドディレクター、カテリーナ・ラグティナ。キエフの避難所で。

「それからは日付も曜日も分からなくなりました。開戦1日目、開戦2日目……そう数えるしかなかった」と振り返る。カテリーナは避難所での光景にショックを受けたとも。「この避難所は敵からまったく守られていません。それでも皆、落ち着いていて、ルールに従っています。そして子供たちさえ泣くこともありません。現在、私がいるキエフは店や薬局は閉まっていますが、水と電気の供給は続いています。インターネットも使えますが、速度は遅い」。

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メッセージのやり取りで互いを支え合う

同じく『マリ・クレール』ウクライナ版でフォトグラファーとして活躍するライザ・プリホチコも同じような経験をした。「開戦直後は信じられず、外に出るとすぐに死んでしまうと思っていました。攻撃を知らせるサイレンを聞いた時、ただ吐き気がした。そして翌日、砲撃の音が始まりました。私は電話を掛けることで家族や友人を安心させ、励ますことしかできなかった。“そばにいない大切な人”のことばかり考えてしまい、ほぼ1時間おきに『大丈夫?』『あなたの家族はみんな無事ですか?』『少しでも眠ることはできていますか?』『ご飯他食べていますか?』『私たちは強い!』『愛しています』といったメッセージを送っています」とライザ。

『マリ・クレール』ウクライナ版でフォトグラファーとして活躍するライザ・プリホチコも避難所からメッセージを送る。

初日は軍事施設と空港だけが標的だったが今は違う。「部屋に割れたガラスが散乱しないように窓にテープを貼るしかありませんでした。窓にテープを貼るなんて……と思うものの、他にできることはないのです。私たちを守ってくれるのは、祈りと周囲の人たちだけ。ロシアが民間人を攻撃するなんて、誰も予想してなかったからです」。

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子供たちは避難所でも静かに過ごしている。
閉ざされた避難所では日にちの感覚もなくなる。
ペットたちも地下で戦争が終わるのを静かに待っている。

2014年からロシアの侵略は始まっていた

「ロシアとの戦争が起きることを予測していましたか?」との質問をカテリーナとライザに投げかけた。ライザは強い口調で「いいえ」と答えたが、カテリーナの意見は違った。「2014年にロシアがクリミア半島に侵攻して来てから、私たちは8年間、戦争の中で生きてきた。それでもこんなことになるとは思っていませんでした。この戦争は完全に狂っています。私たちとって重要なことは、世界の人々がウクライナについて話すこと。ウクライナの話題が取り上げられなくなったら、そしてロシアの勢力には到底及ばないまでも私たちが母国のために戦うことを止めてしまったら、ウクライナという国はなくなります」。

キエフの避難所で不安を感じながら身を寄せ合う人々。
シェルターの中では家族や友人と連絡を取り合うのが唯一の安らぎの時間。

ウクライナのためにどうか声を上げてほしい

ウクライナを率いるウラジミール・ゼレンスキー大統領は、世界の指導者たちから安全な国への避難を勧められた際、キエフを離れず、国民と一緒に行動することを選択をした。そして「必要なのは弾薬であって、他国への移動手段ではない」と決意を露わにしたと言われている。「ウクライナの人々にとってとてつもなく不公平なことが今、起きていることに、強い憤りを感じます」とカテリーナ。

住民たちが持てる限りの荷物を手にして地下に避難した。
キエフの住民が戦争から逃れるために起こった交通渋滞。

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一方、ライザも「怖さ、不安、怒りが日々、混じり合っている。それとともに、自国のために戦う大統領や軍隊、そして国民たちに対する誇りも感じています」。私たち、他国の人々に何ができるのか?との問いかけに「大きな声を上げてくれる人たちに感謝します。みんなのサポートが私たちウクライナ国民にとってどれだけ重要か、あなたは想像できないでしょう。どうか私たちために声をあげてください!」とのメッセージを送ってくれた。

関連情報
  • text: Galia Loupan


    translation: Tomoko Kawakami

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