×

ケイト・ブランシェットが驚異の役作りで女性指揮者を熱演!話題作に込めた思いを語る

トッド・フィールド監督は『イン・ザ・ベッドルーム』(01年)などの名作で知られる才能ある監督だが、長編作は少ない。本作は彼にとって3作目、ケイトとの貴重なコラボレーションが映画史に残る名作を生みだした。本年度アカデミー賞に6部門ノミネートされ、ケイト自身も5度目の主演女優賞にノミネート、またゴールデン・グローブ賞をはじめ世界の映画賞の主演女優賞を席巻した。

「トッドの映画作りの素敵な点は、撮影の過程で明確に情報が提供されている点。制作のスタイルは、ドキュメンタリー映画的な要素が濃い。観客の方がター自身よりも、彼女の心理を見通すことができる。それは私たちの現実生活のようでもある。なにかに夢中になってしまうと、人は自分がどんな風にふるまっているのか、どんな口調で話しているのか、人の目に自分がどう映るのか全く意識しない。その瞬間、コミュニケートするということだけに焦点を絞る。だから人が自分の行動についてどう思ったのか後で知って、正直驚くわけ」

ケイト・ブランシェット

ターという主人公の心の迷宮を、スリラーともいえるスタイルで描き、見るものをぐいぐいとスクリーンに惹きつけるのだ。また撮影はベルリンで行われた。長期滞在したせいか、ドイツ人をうならせる見事なドイツ語を披露してくれる。

「ベルリン在住の大学時代の親友と遊園地に子供を連れて行ったのだけれど、オーストラリア人が多すぎて他の遊園地に避難したほど(笑)。オーストラリアにいると、他の文化と混ざり合う機会があまりないので、多くの人が刺激を求めて海外に移住する傾向が強いからだと思う。でも故郷へのこだわりは強く最終的には帰国するのだけれど」 ケイト自身も10年間イギリスに住んでいたが、現在は出身地のオーストラリアに戻り、シドニーで家族とともに暮らしている。2006年からはオーストラリア自然保護基金の会員として、また11年からは永久栄誉会員として積極的な環境保護活動にかかわっている。

ケイト・ブランシェット
ベルリン・フィルの首席指揮者に就任した天才的な指揮者リディア・ター。7年を経た今、音楽界の頂点に上りつめたターだったが、名声を守り続けるための重圧と何者かに仕掛けられた陰謀によって、少しずつ心の闇が広がっていく──。ターを演じたケイト・ブランシェットは、ドイツ語とアメリカ英語をマスターし、ピアノと指揮を本格的に学び、すべての演奏シーンを自身で演じ切ったという
ター

『TAR/ター』
監督・脚本・製作: トッド・フィールド
出演: ケイト・ブランシェット、ニーナ・ホス、ノエミ・メルラン、ジュリアン・グローヴァー、マーク・ストロング
上映時間: 159分
公開: TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー中
配給:ギャガ
https://gaga.ne.jp/TAR/
© 2022 FOCUS FEATURES LLC.

【関連記事】40代、50代、60代の俳優たちが輝く! 「アカデミー賞2023」主演女優賞候補に注目

関連情報

リンクを
コピーしました