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シュールレアリズムを継承するスキャパレリのライオンドレス【2023年春夏オートクチュール 】

オートクチュールやパリ、ミラノコレクションの取材を続けているファッション ディレクターの萩原輝美さんによる最新コレクションリポート。今回は、動物の顔をデコレーションした大胆なドレスで話題を呼んだ「スキャパレリ」2023年春夏 オートクチュール コレクションについて。

スキャパレリの創始者、エルザ・スキャパレリは1890年ローマ生まれのイタリア人デザイナーですが、ココ・シャネルのライバルとして同時代のパリ、オートクチュールコレクションで活躍しました。ダリやコクトーなどアーティストとのコラボもあり、シュールレアリズムを服で表現したインパクトのある作品を多く残しています。 

2019年からアーティスティックディレクターに就任したダニエル・ローズベリーは、そのアイデンティティーを引き継ぎ、2023年春夏の新作に挑みました。 

ブラック&ホワイトで始まったコレクションは、コルセットでウエストを絞ったようなレースのブラウスにくるぶし丈のパンツを合わせ、シンプルですがきっちりボディーをマークしたエレガントでモダンなスタイルです。ジャケットやコートのビッグショルダーはそのシェイプのコントラストを引き立てています。 

イブニングドレスには剥製(はくせい)のライオンやトラの顔が前身頃を飾る、ドキッとするスキャパレリらしい作品が登場。後半はゴールドやビジューを用いた構築的なドレスが披露され、会場の顧客を魅了しました。 

オートクチュールコレクションは、ジャーナリストとメゾンの顧客が招待されます。フロントローにはスキャパレリのドレスを着用したマダムたちが勢ぞろい。暗いニュースが多い世の中、ユーモアあふれるインパクトあるスキャパレリのドレスは魅力的なのかもしれません。 

text: Terumi Hagiwara

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