フェンディ、ボディーに溶け込むような繊細なレースのフリュイドドレス【2023年春夏オートクチュール】

2023.2.2

オートクチュールやパリ、ミラノコレクションの取材を続けているファッションディレクターの萩原輝美さんによる最新コレクションリポート。今回は、クチュールの技法に集中し、現代のアティテュードを加えたという「フェンディ」2023年春夏オートクチュールコレクションについて。

キム・ジョーンズがアーティスティックディレクターを務める「フェンディ」は、ため息が出るような透明感ある儚げなドレスを披露しました。

ランジェリーをベースに、そのディテールやシルエットがインナーだけではなく、ドレスやコートにも取り入れられ官能的でエレガントです。

ダーツもタックもなく美しいドレープで見せるフリュイドシルエットのドレスはグレイ、モーブ、エクリュなどの淡い色がボディに溶け込むようにシルエットを描き、ビーズのストラップやピンタックをたたむだけで身頃に沿わせたスリップドレスにシフォンやレースのドレープドレスを重ねます。

日本製の細くて強いモヘアをレース状に編みながらボディを作るドレスは、まさにハンドクラフトでしかできないオートクチュール作品です。「フェンディ」の真髄であるファーのシェアーミンクはカットワークされ、素肌に馴染んだドレスとなり、ダブルフェイスとスパンコールのリバーシブルコートは、シンプルながら真のラグジュアリーを感じさせます。