植物の美しさを映し出す「ショーメ」の新作ハイジュエリーコレクション

ショーメの新作ハイジュエリーコレクションが7月に発表された。インスピレーションを自然の中に求め、忠実に表現する「自然主義」は、ショーメがそのクリエイションにおいて創業以来大切にしてきた精神だ。“ショーメの庭”を意味する「ル ジャルダン ドゥ ショーメ」と名付けられた今回の新作コレクションでは、植物の“その場の瞬間”を捉えたシンプルながら高貴な姿が、ハイジュエリー作品の中に映し出された。
ショーメの新作ハイジュエリーコレクションが7月に発表された。インスピレーションを自然の中に求め、忠実に表現する「自然主義」は、ショーメがそのクリエイションにおいて創業以来大切にしてきた精神だ。“ショーメの庭”を意味する「ル ジャルダン ドゥ ショーメ」と名付けられた今回の新作コレクションでは、植物の“その場の瞬間”を捉えたシンプルながら高貴な姿が、ハイジュエリー作品の中に映し出された。
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ショーメは「ル ジャルダン ドゥ ショーメ」を<森と下草><畑><花><世界の花束>という四つの章で構成して紹介した。魅惑的な散歩道を歩くような感覚で、自然の美しさを見つけることができるコレクションだ。
つつましくも小さな種(しゅ)と広大な木々が肩を並べる場所――。ショーメがこう表現した第1章では、ヤドリギ、シダ、樹皮、ポプラが作品の題材として選ばれた。
北欧で新年の繁栄を願う象徴として親しまれてきたヤドリギ。天然パールで珠(しゅ)を表現し、多様なカッティングのダイヤモンドで葉や茎を覆い、ふっくらとしたフォルムを生み出した。鮮やかなエメラルドが作品のピュアさを引き立てる。
樹皮に着想を得た作品では、樹木の持つエッセンスを水彩画のようなグラデーションで表現した。木の幹にはめ込まれたお守りのように、オパールが神秘的な輝きを放つ。
ショーメは畑を、自然が豊かに実り、生命の源となる場所であると解釈。学術的な観察ともいうべき視点で、生命と豊かさの象徴であるブドウの葉に着目した。ランダムかつ幾何学的な配置で宝石をセッティングし、葉脈や蔓(つる)までも精巧に表現した。
ショーメがこの章の題材に選んだのは、パンジー、チューリップ、アイリス、アルム。珍しい植物も含まれ、メゾンの自然愛を感じる。
チューリップは豊かさと繁栄の象徴であると同時に、理想的な愛を連想させる花。立体感のある線でチューリップ全体のフォルムを、カラーストーンでビビッドな色合いを表現し、現代的なたたずまいに仕上がった。
ギリシャ神話では女神ヘラの乳汁から生まれたとされるアルム。ショーメは愛を意味するこの花に敬意を表し、彫刻作品のようなフォルムで再解釈した。ダイヤモンドとイエローサファイアの際立った2色が絶妙に交差する。
「あなたのイマジネーションが遠くまで広がる場所」という副題がつけられたこの章でモチーフとなったのは、アガパンサス、モクレン、菊。
日本でも国を象徴する花としてなじみ深い菊は、11世紀のペルシャの詩人、ウマル・ハイヤームが“楽園の花”と呼んだことでも知られる。菊からインスピレーションを得たネックレスでは、ローズカルセドニーで優美な花びらをかたどった。イヤリングにはブルーサファイアとゴールデンイエローサファイアを用い、あえてアシンメトリーな色彩で表現した。
一点一点の作品に物語があり、何かエネルギーのようなものさえ感じる。精巧で優美な作品を生み出すことができるのは、自然に真摯(しんし)に向き合う姿勢と受け継がれてきた技があるからであり、それらがショーメの卓越性につながっている。
photo: ©Chaumet
text: Shunya Namba @Paris Office
ショーメ / 03-5635-7507
ショーメ 公式サイト http://www.chaumet.com/jp
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