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「ヨウヘイ オオノ」平凡でいとおしい“古着”の新解釈【東コレ2023秋冬プレイバック】

3月に開催された東京コレクション(Rakuten Fashion Week TOKYO)2023秋冬から、注目ブランドをプレイバック!「ヨウヘイ オオノ(YOHEI OHNO)」の最新コレクションにフォーカス。

フラットにつながる日常とクリエイション

東京クリエイティブサロン(TCS)との連携のもとに開催された「ヨウヘイ オオノ」23年秋冬コレクションは、価値があるものも、そうでないものも全て無機質に陳列されたいとおしい世界、澁澤龍彦のアトリエをイメージした会場でプレゼンテーション形式で発表された。街なかに会場を設けることで、最先端のクリエイションとカスタマーのフィジカルな交流を目指した。当日は道行く人がガラス越しにのぞき込むようなシーンもあり、日常の延長線上にクリエイティブな世界が存在していることを思い起こさせてくれた。

自分視点の“いとおしいもの”コレクション

デザイナー・大野陽平のアトリエの棚には、アーティストの作品やビンテージショプで購入したオブジェ、海外のお土産品、ネットショップで買ったおもちゃなど様々なものがコレクションされている。価値があると認められているものからガラクタとみなされてしまうようなものまで、全てが等しくいとおしいものとして並んでいるのだ。
そんな素朴でどこかいとおしいもの、チープで馬鹿馬鹿しいもの、自分自身でも得体の知れないものなどを自身のコレクションに落とし込むべきだと考えている。今シーズンのインスピレーション・ソースは“どこにでもありそうな古着”。

記号としての“古着”を新解釈

アートや彫刻、プロダクトなど洋服ではないものからインスパイアされてきた大野によって、“古着” という使い古された記号に新たな解釈が生まれる。商店街で売っていそうなメタルバンドのTシャツはバッグやドレスへと変換、ボリューミーな毛皮やハンティングジャケット、ミリタリーウェアもブランドならではの立体的な造形アイデアによって昇華される。レプリカのように古着を再生するのではなく、デザイナー自身が受けた率直な印象を頼りに制作されたコレクションは、どれも遊び心をくすぐるアイテムばかり。

ブランド初のシューズをラインアップ

また今回、ブランド初となるシューズも発表。東京発のシューズブランド「セレナテラ(Sellenatela)」のデザイナーである榎本郁栄がデザインと制作を担当し、ダイヤ形のカッティングが施されたフラットシューズとブーツ、立体的なフォルムのパンプスなどが登場。装飾性だけではなく実用性のあるデザインに仕上げた。

“造形に対する熱量” を純粋に形にするという先シーズンの試みを経て、少し俯瞰(ふかん)的な視点から見た大野自身の生活観や人生観を垣間見たような今回のコレクション。 美しさと共存する平凡さや馬鹿馬鹿しさをいとおしむ、大野流の “ユニークで、ある種美しいもの” の表現を体感して。

Photos: YOHEI OHNO、text: Rina Yanagisawa、edit: Miyuki Kikuchi

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