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2022アカデミー賞の鍵を握る?ベネディクト・カンバーバッチの演技も見どころ『パワー・オブ・ザ・ドッグ』

来る3月28日(日本時間)に「第94回米国アカデミー賞」が発表される。今年は日本映画としては初めて、西島秀俊主演の『ドライブ・マイ・カー』が作品賞にノミネートされ話題を呼んでいる。作品賞候補は全10作だが、いますぐ配信で見られる作品もある。そこで、授賞式前にぜひチェックしてほしい3作品を紹介しよう

12部門にノミネートされている最有力作品

知性も教養もある反面、粗暴な振る舞いで人々を威圧する牧場主が、弟が迎えた妻と息子に対して激しい敵意をむき出しにすることで、緊迫していく家族模様を描いた物語。2021年のヴェネツィア国際映画祭で銀獅子(監督賞にあたる)を受賞、アカデミー賞前哨戦といわれるゴールデングローブ賞でも作品賞や監督賞などを獲得した。計12部門でノミネートされているアカデミー賞でも、作品賞はじめ複数のオスカー獲得が期待されている。

広大な牧場を経営するフィル・バーバンク(ベネディクト・カンバーバッチ、写真右)

舞台は1925年のアメリカ・モンタナ州。大牧場を経営するフィル(ベネディクト・カンバーバッチ)は、仲間のカウボーイたちと街の食堂に入るが、給仕をする店主の息子ピーター(コディ・スミット=マクフィー)を女々しいと嘲笑って傷つけたり、他の客を怒鳴って追い出したりとやりたい放題。しかしその一方で、フィルの弟ジョージは、女店主のローズ(キルスティン・ダンスト)に想いを寄せていた。弟がローズに接近していることに気づいたフィルは、彼女は息子の学費目当てで結婚したがっているだけだと非難するが、時すでに遅し。ジョージはフィルに告げずにローズと結婚していた。

ジョージ(ジェシー・プレモンス、写真左)とローズ(キルスティン・ダンスト、写真右)は愛し合い結婚する

ローズとピーターは牧場に引っ越してくる。その日から、ローズとピーターに対するフィルの陰湿で執拗な攻撃が始まった。

追い詰められ、心が壊れていくローズを見て、ますます苛めを加速させるフィル。彼はなぜそこまで弟の妻と息子に対して牙を剥くのか。そして、フィルがしばしばその名を口にし、心の拠り所にしている “ブロンコ・ヘンリー”とは一体何者なのか。薄皮をゆっくりと一枚一枚丁寧に剥がすように秘密が明かされていき、そしてラストには作品の様相が一変するほどの展開が待っている。一筋縄ではいかない怖い物語だ。

監督は、『ピアノ・レッスン』(1993年)で女性監督として初めてカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞したジェーン・カンピオン。『ピアノ・レッスン』のときは、それまで賞に縁遠かったスティーブン・スピルバーグがオスカー狙いで撮ったとまでいわれた『シンドラーのリスト』が対抗馬にいたため、惜しくもアカデミー賞作品賞と監督賞を逃したが、今回もスピルバーグ監督の『ウエストサイドストーリー』が候補にいて、因縁の戦いとなる。

ある出来事をきっかけに、フィルとピーター(コディ・スミット=マクフィー、写真左)の関係性に変化が現れる

主演のベネディクト・カンバーバッチは、映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』(2014年)、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021年)などの映画で多彩な役を演じ、テレビシリーズ『SHERLOCK』でも人気を博した。今年は『ドリームプラン』のウィル・スミスが主演男優賞最有力といわれているが、カンバーバッチの追撃がなるか、注目したい。

また、物語の鍵を握るピーターを演じたコディ・スミット=マクフィーは、既に本作の演技でゴールデングローブ賞やニューヨーク映画批評家協会賞の助演男優賞を獲得していて、アカデミー賞でも本命といわれている。

ローズの連れ子ピーターは、原作者のトーマス・サヴェージ自身が投影されているといわれている

そして、カンピオン監督作品は音楽の評価も高いが、本作ではイギリスのロックバンド、レディオヘッドのメンバーであるジョニー・グリーンウッドが手がけていて、こちらも作曲賞候補に挙がっている。

過剰な説明を極力排していることもあり、深読みの余地が随所に散りばめられているのも特徴のひとつ。フォーカスを当てる登場人物を変えて観るたびに、違った解釈と怖さが現れてくる作品だ。

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Profile

香月友里

かづき ゆり フリーライター。出版社の編集者を経てライターに。同居する5匹の犬猫たちにお仕えしながら、映画とドラマと演劇とJ-POPにどっぷり浸る日々を送る

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