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【インタビュー】 ガーナのスラム街に学校を!廃材でアートを作り続ける、唯一無二のアーティスト 長坂真護が語る熱い思い

「ガーナ」/「Bye Bye WARUIKO chan」¥22,000,000

アートでサステナブルな社会を目指すアーティスト長坂真護(MAGO)の展覧会「Still A Black Star / WeAre Same Planet〜私たちは繋がっている〜」が、10月24日(日)まで日本橋三越本店 本館7階 催物会場で開催中。

先進国が投棄した廃材でアートを作り続け、その売上をガーナ・スラム街の教育、文化、経済、そして人々へ還元する「サステナブル・キャピタリズム」(持続可能な資本主義)を世界に広げ活動するMAGO。今回の作品は、「ガーナ」、平和を祈った「月」、未来を描いた「新世界」、そして新たに小豆島を舞台に描く新シリーズ「We Are Same Planet」を加えた4つのテーマを展示。

「私たちは同じ星に住んでいて、この星は一つで繋がっている=We Are Same Planet」は、日本の美しい島「小豆島」にも沢山のマイクロプラスチックやシーグラスなどの廃棄ゴミがあることを知り、小豆島に住む妖精や生き物を、小豆島の廃棄物を使いアートで表現した新シリーズ。

アートとの出会いと電子機器の墓場ガーナ・“アグボグブロシー”への思い
「保育園の時に、母親がクリムトの版画を買ってきて。すごくロマンチックだなと思ったのを覚えています。それが、アートとの出会いです。それからしばらくして、2009年に絵描きを目指しました。」

そう語るアーティストのMAGOは専門学校卒業後に創業した会社が倒産。その後、路上の絵描きをしながら、電気機器の限定モデルなどをアメリカで購入して日本で販売する仕事をし、世界中を旅していた。2016年に電子機器の墓場(廃棄場)と言われる場所がガーナにあることを知り、いても立ってもいられず2017年6月、ガーナのスラム街“アグボグブロシー”を訪れることに。「東京ドーム32個分のゴミ、60万トンのゴミの山が広がっていました。そのゴミ山で、労働者がガスマスクもせずに、1日たったの500円で働いているんですよ。」

先進国が捨てた電子機器を必死に燃やしながら生きる彼らと出会ったことで、彼のプロジェクトは始まった。

「ガーナ」/「malco」¥19,800,000
「ガーナ」/「星に願う少年」¥5,500,000

「月」シリーズとサステナブル
「実は昔、パリでバイヤーをしていいたことがありました。ゆかりのあるパリで同時多発テロが起きました。事件後パリに行った時に、現場の“恐怖”と“平和”に対する考え方の甘さに“葛藤”を持ちました。その時に、たまたまパリの夜空に浮かぶ『満月』を見て、戦争は無くせなくても、一人一人に平和をプレゼントすることはできるなと思いました。それがきっかけで『月』シリーズを制作するようになりました。」

「月」/「FULL MOON」¥1,760,000

「月」を描くのと同時に「サステナブル」を知ることで、ガーナでの活動が決まった
「同じ時期に、仲良くなった友人からオーガニックコスメを販売することで有機農園を増やす『サステナブルカンパニー』という仕事をしていると聞きました。僕が初めて耳にした『サステナブル』という言葉でしたね。サステナブルという概念と電子機器の墓場であるガーナがマッチして、“これだ”と思いました。ガーナの廃棄物をアートに変えることで、展覧会などを通じてガーナのことを発信できます。直接的にゴミを減らすこともできるし、アートの売り上げをガーナに投資することもできる。まさに、サステナブルですよね。」

スラム街初の文化施設『MAGO E-WasteMuseum』を設立。この軌跡をエミー賞授賞監督カーン・コンウィザー氏が追い、ドキュメンタリー映画“Still A Black Star”を制作。アメリカのドキュメンタリー映画アワードImpact Docs Awardで優秀賞4部門受賞。現在、公開へ向けて準備中。

アート活動を通じて、スラム街初の学校設立にも力を入れている
「捨てられた電子機器を燃やすことで発生する大量のガスを吸い、ガンになり30代で亡くなると言われる彼らを犠牲にして、富を得る事がそんなに大事なことか?アートの力をもって、この真実を先進国に伝えたい」と決意。アートの売り上げから生まれた資金で、これまでに1,000個のガスマスクをガーナに寄付している。また、2018年には、スラム街初の学校『MAGOART AND STUDY』を設立する活動をスタートさせた。

笑顔いっぱいのガーナの人々とMAGO

何をしていいか分からない。でもメッセージは自分の中にある
「人間は必ず意味を持って生まれてきていると思います。だから、時代の流行に感化されて目標を作るのではなく、自分のDNA(本質)を理解してほしい。自分はどういう事に特化すれば成長するのかを、ゆっくり考えてほしいですね。自分の失敗を経験して、僕には何があるか考えたら絵が残った。だから、自分自身に目を向けてみてほしいです。」

「小豆島」/「We are same Love」¥327,800

MAGO自身の失敗から見出された“絵を描くという才能”と、パリで出会った「満月」と「サステナブル」が、ガーナでのアート活動をさらに輝かせて続けている。

■展覧会概要
・Still A Black Star / We Are Same Planet 〜私たちは繋がっている〜
日程: 〜10月24日(日)[最終日は午後6時終了]
場所: 日本橋三越本店 本館7階 催物会場
作家来場: 10月17日(日)、10月23日(土)、10月24日(日)
※諸般の事情により、予定しておりますイベントなどが変更・中止になる場合があります。


 

関連情報
  • interview & text:miyuki kikuchi

Profile

長坂真護(MAGO)


1984年生まれ。2009年、自ら経営する会社が倒産し、路上の画家になったアーティストMAGOは、2017年6月、「世界最大級の電子機器の墓場」と言われるガーナのスラム街“アグボグブロシー”を訪れる。2018年、スラム街初の学校『MAGOART AND STUDY』を設立。2019年8月、アグボグブロシー5回目の訪問で53日間もの期間ガーナのスラム街アグボグブロシーに滞在し、彼らの新しい希望と生活のために、スラム街初の文化施設『MAGO E-WasteMuseum』を設立。

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