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オートクチュールを支える刺繍の工房「ルサージュ」の展覧会、パリ19区のシャネル「le19M」で開催中

シャネル傘下の工房が集まったパリ19区の複合施設「le19M」(ル・ディズヌフ・エム)のギャラリーで、展覧会「Lesage, 100 Years of Fashion and Decoration」(入場無料)が開催されている。創業100周年を迎えた刺繍(ししゅう)の工房「ルサージュ」(Lesage)はオートクチュールを支え、職人技が凝縮されている。ファッションや装飾の歴史への貢献を紐解(ひもと)く、見ごたえのある内容だ。

「le19M」はシャネルが2021年にオープンした25,500㎡におよぶ複合施設で、傘下の「ゴッサンス」(Goossens)、「ルマリエ」(Lemarié)など12の工房の職人約700人がひとつ屋根の下で仕事をしている。イタリア人建築家リュディ・リチオッティが設計した、織り物の縦糸のような構造で覆われた外観を持つ。「le19M」は通りを一つ挟めばオーヴェルヴィリエ市という、パリ北東部の外れに位置する。運河、工場、団地などのあるエリアに新しく開発された建物が混在し、パリ中心部とは違った風景だ。施設名の「19」は所在地(19区)やガブリエル・シャネルの誕生日(8月19日)、「M」はMétiers d’arts(芸術的な手仕事)、Mode(モード)、Main(手)などから取っている。展示スペースのギャラリーやワークショップスペース、カフェレストランなどを併設し、市民の交流の場となっている。

シャネル ルサージュ le19M
地下鉄12番線Aimé Césaire駅を出て広がる風景
シャネル ルサージュ le19M
「le19M」の外観
シャネル ルサージュ le19M
「le19M」にあるワークショップスペース

現在ギャラリーで開催中なのが、「Lesage, 100 Years of Fashion and Decoration」だ。ルサージュは1924年に、アルベール・ルサージュと妻のマリ・ルイーズがミショネ刺繍工房を引き継いで創業した。創業まもなく、前衛的なパターンで知られるようになった。1949年に父アルベール・ルサージュから会社を引き継いだフランソワ・ルサージュは刺繍の名匠として名を馳(は)せ、1960年代にはクリスチャン・ディオール、エルザ・スキャパレリ、カルヴェン、ピエール・バルマン、ユベール・ド・ジバンシィなど多くの偉大なクチュリエたちが刺繍を依頼した。

シャネルとのコラボレーションは、カール・ラガーフェルドがクリエイティブ・ディレクターとしてシャネルに入社した1983年に始まる。フランソワ・ルサージュが1998年に提案したツイード生地は、その後、シャネルの代名詞的な素材として再解釈を繰り返しながら、プレタポルテコレクションやオートクチュールコレクションに使われている。

ルサージュは2021年より「le19M」に入り、シャネルをはじめ、さまざまなメゾンに刺繍を施した生地を提供しつづけている。芸術的な刺繍のアーカイブコレクションは約75,000点にもおよぶとされる。本展覧会では、貴重なアーカイブを通じルサージュの歴史をたどりながら、ファッションメゾンとの交流、あるいはインテリアなどファッション以外の分野への応用を見ることができる。ワークショップで制作された作品を用いたインスタレーションなどもあり、見ごたえのある内容となっている。その一部を紹介する。

シャネル ルサージュ le19M
ルサージュの歴史を振り返る写真と年表
シャネル ルサージュ le19M
アーカイブの展示を通じ、刺繍を施した生地とそこから生まれた服を対比して見ることができる。刺繍の工程も詳しく解説されている
シャネル ルサージュ le19M
ツイード生地のアーカイブ。交差のパターン、織りの密度や厚さなど、数十の要素を織り交ぜて、独創的な生地が生み出される
シャネル ルサージュ le19M
ルサージュの刺繍が使われた近年の衣装の展示も盛りだくさん。写真右側の衣装はビヨンセがワールドツアーで身につけたもの
シャネル ルサージュ le19M
インテリアへの応用も進んでいる。ヴェルサイユ宮殿の寝室のベッド刺繍の復元にもルサージュの技術が使われた
シャネル ルサージュ le19M
テキスタイルに映像を投影するインスタレーションでは、ワークショップで制作された作品が活用されている

会期は2025年1月5日まで。期間中にパリを訪れる機会があれば、少し足をのばして刺繍の芸術や技に触れてみるのはいかがだろうか。

text: Shunya Namba @Paris Office

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Lesage, 100 Years of Fashion and Decoration
会場:la Galerie du 19M(2 place Skanderbeg, 75019 Paris)
会期:2024年9月26日(木)~2025年1月5日(日)
開館時間:水曜~金曜 午前11時~午後6時、土曜・日曜 午前11時~午後7時(月曜・火曜は休館日)
入場無料、HPから事前予約可能
https://www.le19m.com/

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