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Culture

最新作『21FW』を配信リリース。アーティストnaomi paris tokyoにインタビュー

自身2作目となる『21FW』を2021年7月14日(水)にリリースした「naomi paris tokyo」。マリ・クレール初のインタビューで、コロナ禍に制作された楽曲に込めた思いから今後の展望に至るまでを語ってくれた。

「naomi paris tokyo」というアーティストを知っているだろうか?2012年、2人のアーティストjanとnaomiが出会い、ユニットとして活動している「jan and naomi」のnaomiによるソロ名義である。長身でロングヘア、ミステリアスで寡黙そうな佇まい。繊細で美しい歌声と洗練されたメロディで一度聞けば誰もが虜になるサウンドアーティストにふさわしい圧倒的なオーラを持ちながら、意外にも本人は明るく気取らない人柄でインタビューに応えてくれた。

これからもこのペースは崩さずに、むしろ巻いていきたい

「naomi paris tokyo」による2作目のEP『21FW』は、アパレルブランドの春夏シーズン・秋冬シーズンの発表に合わせて、定期的に楽曲を発表していくという試みの第2弾として7月14日(水)にリリースされた。1作目の『21SS』が昨年12月に発表されて約半年。

「思いのほか、半年って早かったなと。『21SS』はnaomi paris tokyoとして1作目ということもあって、ちょっと気負っていた部分もあったんですが、『21FW』は2作目だし、スムーズに進行できるかなと思っていたんですよね」

「jan and naomi」としての活動と単純比較してしまえば、ソロ活動は意思決定のスピードが早い。その一方で、すべてが自分次第。SS、FWと年2回、作品を発表するという枠組みの中で、あらゆる意思決定を自分一人で行わなければならない。

「いつものことではあるけれど、真剣になるほど時間はかかるし、半年ごとというサイクルは意外と余裕がなかったですね。これからもこのペースは崩さずに、むしろ巻いていきたい」

他のジャンルのクリエイターやアーティストと積極的に関わりたい

『21FW』に収録されている楽曲「SH#1」「SH#2」「SH#3」と「Waltz」は、2021年3月から4月にかけて行われた写真家・岩本幸一郎の写真展「Self Harm」のために制作され、エクスペリメンタル・アンビエントなアプローチが特徴の楽曲となっている。

「(岩本氏が)jan and naomiの曲を好きでいてくれて、共通の友人もいたりして、何度か会う機会がある中で彼から直接連絡が来たんです。しばらく音源制作も自分の作品以外、制作するきっかけがなかったので、気合十分で臨めました」

『21FW』のジャケットには、岩本氏の写真を採用。独自の美学を持つ「naomi paris tokyo」と岩本氏の世界観が見事に融合され、この作品の特別感をより一層高めている。

写真家・岩本幸一郎の写真を『21FW』のジャケットに起用

前作『21SS』では、アートディレクターのYuuki Ikegami氏のArt Bookのために楽曲を提供するなど、2作続けて音楽とは異なるジャンルのクリエイターとのコラボレーションを行ってきた。

「次のリリースまでの半年の間に、何かしらアクションがあったら、それを自分の作品と絡めて、自分の歩んできた日記のようにできたらいいなと思っているんです。音楽家だけじゃなくて、他のジャンルのクリエイターやアーティストと積極的に関わりたいです」

時代感と制作順が入れ替わるというのが面白かった

『21FW』のリリースに先駆けて発表されたシングル「Tokyo pt2」。前作『21SS』に収録された「Tokyo」の続編として”2021年の東京”を歌に表現している。コロナ禍で生まれた喪失感や孤独を描くにあたり、前作との関係性を詳しく聞いてみた。

「『21SS』の『Tokyo』よりも先に『Tokyo pt2』が完成したんですけど、なんか悲しい曲に感じてしまって。作った当時は2020年、コロナ禍の初めての夏で、どんどんいろんなものが制限されていって、マイナスの感情が自分の中にあったと思うんですよね。すごく社会と分断されているというか。それが『Tokyo pt2』には色濃く反映されてる感じがして、naomi paris tokyoの幕開けには、それだと光や希望がなさすぎると感じたから、pt1(『Tokyo』)のように少し最後に光が感じられるような曲にアップデートしたんです」

7月14日に公開された「Tokyo」のミュージックビデオ

「このpt2は本来制作過程の順でいうと『21SS』の『Tokyo』よりも先にできていたので、pt0なんだけれど、pt2にしたことで、未来に進むにつれて時代を遡る感じが自分としては面白かったし、コロナの前に戻りたいという気持ちと重なると思って、pt2というタイトルにして続編と呼んでいるんです」

制作順に従えばpt0ともいえる「Tokyo Pt2」

バンドでもやってみたいですね。

現在は、コロナ禍でアーティスト活動の主軸の一つであるライブができないもどかしさや、人と会う機会が減り、一人で制作することが時に苦しくなることもある、と心の内を明かしてくれた。新しい曲を発表することが自分自身の生存確認をしてもらえる術でもあると考えて、制作の原動力に変えているという。

「近い将来には、テーマを設けて作品を作りたいと思っているんですよね。テーマと言っても、身近な、例えば自分が今住んでいる町のこととか」

自身が慣れ親しんだ町やそこに住む人たちを大切に思う気持ちが、作品や制作過程からも感じ取れる。(無人島に何か1つだけ持っていけるとしたらという質問には、”祐天寺にある食堂の2番定食”と答えてくれた)。

「住んでいる町に愛着があっても、そこにある温度とか空気って変わっていくじゃないですか。でもそれを(作品に)残して、音楽を通して遊びたい。未来の自分たちと」

今は難しい状況だが近い将来、ライブが開催された日に過去の記憶を共有しながら音楽に浸れたらどんなに素晴らしいだろうか。ライブが自然にできるようになる日を待ちわびながらも、すでに構想は進んでいる。

「引き語りでライブをしたことはここ半年で何度かあるんですけど、バンド編成ではまだやったことがなくて。バンドでもやってみたいですね。」

先が見えないこの時代だからこそ、未来を描くことが前に進み続けるモチベーションになることを私たちに気づかせてくれる。

「アパレルブランドに合わせた発表は3年間続けたいから6シーズン、23FWまではやりたいと思っています」

すでに3年後を見据えているnaomi paris tokyoのストーリーはまだ始まったばかり。現状を冷静に見定め、心境を切り取り、未来に向けて作品を残していく彼の音楽性に触れることができる最新作『21FW』をまずは聴いてみてほしい。そして次作『22SS』では、どんな音楽を披露してくれるのか、今から心待ちにしたい。

■プロフィール
naomi paris tokyo
jan and naomiのnaomiのソロ名義。中性的で柔らかな声、繊細且つ洗練されたメロディアスなサウンドアーティスト。春夏・秋冬のファッションウィークに合わせて、定期的に楽曲を発表していくという試みの第1弾である1st EP『21SS』を2020年12月に発売。2nd EP『21FW』が2021年7月14日(水)発売された。
Instagram: https://www.instagram.com/naomi_paris_tokyo/
Twitter: https://twitter.com/naomiparistokyo
2nd EP『21FW』 https://virginmusic.lnk.to/21fw

text: Miyuka Abe

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