×

人工知能を規制する世界初の法律「AI法」がEUに誕生

gmast3r / iStock.com

2023年12月9日(現地時間)、欧州連合(EU)の理事会と欧州議会は人工知能(AI)を規制する法案に関して、暫定的な政治合意に達したと発表。世界初になるとみられる「AI法」について、マリ・クレール インターナショナルのイタリア版デジタル記事よりお届け。

他の大陸の国でもすでに手本としている先駆的なEUの法律は、どのように機能し、何を禁止するのか?

専門家たちは、人工知能が今後数年で、人類の歴史に大きな影響を及ぼすサイコテクノロジーであることに疑いの余地はないと考えており、EUが世界で初めて採用する規則となる「AI法」は、すでに他のあらゆる国々の手本となっている。

サイコテクノロジーとは、人間の認知プロセスに劇的な変化をもたらす発明や技術革新のことで、その最初は話すことであり、次に書くこと、そしてラジオ、テレビ、インターネットと続く。

信じられないような話だが、今日AIに対する不信や警告があるのと同じように、紀元前5世紀から4世紀にかけてはプラトンが、書くことは記憶を破壊し、人間の心を弱体化させると激しく非難していた。

今日、出来事が展開するにつれ、人間の記憶力が歴史のすべてを口頭で語り継ぐのに十分な容量を持っていなかったこと、そして文字がなければ、プラトンの功績すら現代に残されていなかったかもしれないことを私たちは知っている。

だから私たちは、人工知能と共存し、よりよい医療、より安全でクリーンな交通機関、より効率的な生産、より手頃で持続可能なエネルギーなど、人工知能から得られる恩恵を享受するために、自分たちで準備をする必要がある。

しかし過去30年にわたるインターネットの経験が教えてくれたように、よくある悪意ある政党が高度な偽情報キャンペーンを展開したり、想像力を発揮して詐欺行為を増大したり。また新たな無法地帯を生み出すリスクは非常に高い。

さらに、亡くなった最愛の人のように振る舞ったり、話したりするアバターを作り出すことができれば、バイラル動画「Emma – The AI Robot」のような不穏な分身を作り出すこともできる生成型AIについて、その危険性を警告する取り組みはすでに数多くある。

この前提は、EUが人工知能を規制する世界初の法律「AI法」の制定を急ぐことに決めた理由を説明するのに必要だった。事の発端は2021年4月、欧州委員会がさまざまな用途に使用されるかもしれない人工知能システムは、「ユーザーに与えるリスクに応じて分析し、ランク付けすべきである」と提案したことにある。

AI
Wanlee Prachyapanaprai / iStock.com

2023年12月8日、「AI法」のラポーター(報告者となる議員)であるイタリアの欧州議会議員Brando Benifeiが語ったところによれば、「欧州議会と理事会の間で36時間にわたるマラソン交渉が行われた結果」、誰もが納得する法文が完成した。

規制は3段階に分けて施行されることとなる。最初の段階は3月からで、最終承認がなされ、その後、最初の禁止措置が施行される予定だ。第2段階は次の12か月間にわたり、「ChatGPTのようなシステミック・リスクをもたらす最も強力なシステム」を規制することになるとBenifei氏は説明する。まとめると、「AI法」の発効は何を引き起こすのだろうか?

最終的な法文案はまだ公表されていないが、内容はすでに明らかになっている。まず、製品安全に対するEUの厳格なアプローチに沿って、「AI法」は人工知能システムを「高リスク」のカテゴリーに分類する。したがって、第一にAIシステムの使用は人間が中心であり、無差別、透明性、説明可能性といった基本原則に違反しないことを保証するものとなる。「AI法」は、システムによる恣意(しい)的な判断に100%頼るのではなく、人的な監視のための技術的な手段を提供し、AIが生成するコンテンツは、ディープフェイクを防止するために、透明性に関する原則に従い、AI生成コンテンツであることを明確にユーザーに知らせることが必要となる。

一種の「電子透かし」システムによって、実際、どんなデバイスでもAIコンテンツを認識できるようになる。この法律は、目まぐるしく進化する他の人工知能技術に遅れを取らないよう、ヘルスケアなどの積極的な用途に焦点を当てるだろう。たとえば雇用や住宅ローンの審査など、人々の生活に具体的な影響を及ぼす決定にAIが使用されるケースについては、民主主義的な価値観の容認できない侵害を避けるため、そのシステムを管理・監視しなければならない。また、女性や有色人種を二の次にし、CV(職務経歴や学歴などの個人情報)を抜き取るシステム、そしていわゆる「ソーシャル・スコアリング」のような手法も絶対に禁止される。私たちはすべての確定的な情報が得られる2024年3月まで、今は待つしかなく、第一線の専門家たちとともに意見を述べ、独自の結論を導き出すつもりだ。

Translation & adaptation: Akiko Eguchi

記憶力と認知能力を高める3つの簡単トレーニング
ChatGPTなどの人工知能は人生を豊かにするのか? 今こそ観たいAIがテーマの映画3選

関連情報

リンクを
コピーしました