×

韓国ドラマにハマるならここから! 初心者におすすめ王道&人気6作品~ヒューマン編~

私たちのブルース

韓国、日本ともに2022年に公開され大きな話題となった「私たちのブルース」だ。
韓国の古き善き生活と人情が残り、温暖でみかん栽培でも有名な済州島を舞台に、そこに暮らす人々の人生を丁寧に描く群像劇である。

番組制作が発表された時から、出演する俳優たちの顔ぶれが話題となった。群像劇なので多くの俳優が出演している。イ・ビョンホン、シン・ミナ、チャ・スンウォン、イ・ジョンウン、ハン・ジミン、キム・ウンビン、オム・ジョンファ、コ・ドゥシムといった、総勢14名の韓国ドラマおなじみの俳優が名を連ねている。

本作の脚本は叙情性の高い作品で人気と信頼を集めるノ・ヒギョンが担当。実際に済州島で暮らす人々を自ら取材し、その暮らしを大切に物語の細部に写し取っている。

物語は済州島で生まれ育った主人公たちの、夢がかなわなかった過去や、切ない初恋の思い出、都会で挫折した経験や、旧友との拭い難いあつれき、他人には語れないつらい日常の出来事を一つ一つ掘り起こし、見つめ、解きほぐしていく。オムニバスで語られるどの人生にも大人になれば誰もが多少は経験する、人生の壁や挫折が登場する。一人苦しみ悩み、時に自暴自棄になる主人公たちの気持ちに、済州島に暮らす旧友や家族が寄り添う場面が描かれている。人は一人では生きていけない、人は人が支えることで人生を紡いでいけるということに改めて気付かせてくれるような温かな人々の力が、すべての出来事の根底に流れているのが本作の味わい深く素晴らしいところとなっている。

多くの方がご存じのイ・ビョンホンだが、本作では行商のよろず屋を営む男を演じている。オムニバス最後の物語となる数話でのビョンホン演じるドンソクとその母との葛藤は見応えがある。母親から自分を母と呼ぶなと言われ、今なら虐待と呼ばれるような扱いを受けて育った男が、余命わずかとなった母と向き合い、自分につれなく当たり続けたその理由を問う。母親には息子に伝えられない事情と苦悩があり、まだ若かった頃、息子を食べさせるため、生き延びるためにした選択への激しい自責の念があることを知り、そんな母の苦しみを理解し受入れようとしていくのだ。少しだけ話の展開に触れるが、ドンソクの好物である味噌チゲを最後に息子のために作った後、母親が静かに息を引き取ったことに気付くシーンは、心が締め付けられるような、同時に母を受け入れることができた安堵(あんど)のようなドンソクの気持ちのうねりを感じずにはいられない、印象的なシーンの視聴体験ができた。

ノ・ヒギョン脚本は韓国・済州島の暮らしの中で、人と人が向き合い、理解することの難しさ、そして受け入れていくことの尊さをゆっくりと語っている。

全6作品とわずかな本数の紹介となったが、観たいと思う作品はあっただろうか? 今回紹介した作品は数多くある韓国ドラマの一部に過ぎない。毎月たくさんの新旧作品が日本でも公開され続けているが、名作、人気作と呼ばれるドラマはいつ観ても楽しめるもの。気になるな、と思った方はぜひこの機会に視聴してみて、自分だけの「人生ドラマ」に出会ってもらいたい。

text: Ryoko Morita

【関連記事】韓国ドラマにハマるならここから! 初心者におすすめ王道&人気6作品~ラブロマンス編~
【関連記事】韓国ドラマにハマるならここから! 初心者におすすめ王道&人気6作品~サスペンス編~

関連情報

リンクを
コピーしました