【鹿島茂と猫のグリの「フランス舶来もの語り」】湯たんぽでわかる階級社会の序列
2023.2.22
2023.2.22
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ただし、それは日本の湯たんぽの無骨(ぶこつ)なイメージからはほど遠く、巧妙にカムフラージュされているので、蚤の市あたりで知らない人が見つけても何に使う道具かわからない。なかには、エレガントな足乗せの中に収納されるようになっているものもある。おそらく冷え性の女性のために開発されたものなのだろう。

だが、昔、湯たんぽを使ったことのある人ならすぐにわかるだろうが、お湯をたっぷりと入れた湯たんぽというものは思っているよりもはるかに重い。あんなに重いものを優雅に着飾った貴婦人が抱えて旅をしたのだろうか?
ご心配は無用。なぜなら、当時は旅する貴婦人には下僕(げぼく)かメイドが付き従っていたので、重いものは皆これらの使用人が持ったからである。もちろん、貧しい人は重い湯たんぽを荷物と一緒に運ぶか、さもなければ寒さに震えているしかなかった。
湯たんぽのようなものにも階級社会の厳しさが現われているのである。
【グリの追伸】クッキーやチョコレートの詰め合わせをいただくと、必ずその後、首のまわりにリボンがつくのです。

photo by Shigeru Kashima
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鹿島茂
かしましげる 1949年横浜に生まれる。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。2008年より明治大学国際日本学部教授。20年、退任。専門は、19世紀フランスの社会生活と文学。リンクを
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