立春まぢか
2月の最大イベント、バレンタインデーにちなんで今回はチョコレートのお話。フランス文学者の鹿島茂さんが愛猫のグリ(シャルトリュー 10歳・♀)とともに、フランス人の記憶に深く刻まれているというフランスのチョコレートについて紹介します
最近のバレンタインデーではプレゼントする品はチョコレートでなくともいいらしいが、それでも、女の子たちは、本命の男の子に対しては、よりレアーもののチョコレートをと、血眼になって探しているようだ。
ところで、チョコレートといえば、19世紀の前半まで、チョコレートはすべて手作りの限定品だった。なぜかというと、チョコレートというのは、カカオと砂糖を混ぜて作るものだが、このカカオと砂糖を均質にすりつぶして混ぜることが極度の熟練を要して、大量生産にはむかなかったからだ。
そのため、チョコレートは大金持ちだけが賞味できる高価な嗜好(しこう)品、ときには媚薬(びやく)とさえ考えられていた。
ところが、1855年のパリ万博に出品されて金賞を獲得したドゥヴァンク社のチョコレート製造機の出現で様相は一変する。すなわちカカオ豆の洗浄・焙煎(ばいせん)からタブレットの包装までの全工程をオートメーションで行なうドゥヴァンク社の機械は、これまでむずかしいとされた粉砕・撹拌(かくはん)の工程を苦もなく処理して、どんな手作りチョコレートにも負けない製品を短時間で製造したのである。
この製造機を使ってチョコレートの大量生産に乗りだしたのが、フランスのチョコレート・メーカー、ムーニエ社の2代目の社長エミール・ムーニエである。
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