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京都のお雑煮は、白味噌とお正月限定の「花びら餅」【町家宿おかみの、たびする京都くらす京都。】

聚洸さんの花びら餅

京都・洛北、紫野にある町家宿「karigane(かりがね)」。昭和初期に建てられた京町家をリノベーション、和の情緒を満喫できるとして人気の宿を夫とともに営む下岡莉香さんが、四季折々の京都の表情をスケッチします。お正月の定番といえばお雑煮。今回は京都ならではのお雑煮のお話を。


新しい年に祈りを込めて

あけましておめでとうございます、karigane の下岡です。みなさまはお正月、どのようにお過ごしでしょうか。

【京都のお雑煮は白味噌】
お正月の楽しみのひとつといえば、お雑煮。京都では白味噌のお雑煮がベーシックです。具は地域、家庭によってさまざま。我が家では、丸もち、輪切りのにんじん、大根、ごぼう、くわいを入れて、角が立たないように、芽が出るようにと、祈りを込めます。

白味噌のお雑煮

【甘い上生菓子のお雑煮】
そして、忘れてはならないもう一つのお雑煮、それが宮中雑煮とも呼ばれる花びら餅。白味噌の餡と紅色の菱餅、ごぼうの蜜煮をお餅でつつんだ、お正月限定の上生菓子です。和菓子にごぼう!と驚かれる方もいらっしゃるでしょうが、大地の香りがアクセントとなり、とても美味しいです。

【聚洸さんの花びら餅】
花びら餅は御菓子屋さんによって、さまざまなアレンジがなされていますが、今回ご紹介するのは聚洸(じゅこう)さんの花びら餅です。こちらの花びら餅の特徴は、羽二重餅が使われたふわふわの餅生地。空気をたっぷり含んだ羽二重餅は、雪のようなフワフワ感、絹のような滑らかな舌触りです。

この羽二重餅の美味しさの秘密を店主の髙家裕典(たかや ひろのり)さんにお伺いしたところ、「特別なことってそんなにないんですよ」と最初に断りつつ、「羽二重餅の材料は餅粉に砂糖、卵白に水ととてもシンプルなんです。だからこそ、餅の捏ね方にしても、卵白の泡立て方にしても、その素材の一番を引き出すように、丁寧に作っています」とのこと。

聚洸さんのお正月の御菓子

興味深いことに、同じ仕入先から購入する餅粉も、その年の天候や収穫した畑の違いで、練っているときの感覚が微妙に違ってくるのだそう。御菓子と真摯に向き合っているからこそ、感じられる違いなのかもしれません。

「羽二重餅を練っていて、アーモンドみたいな甘い香りを感じる時は、よい餅が出来た頃合いの合図なんです」。そう話される高家さんからは笑みがこぼれ、本当に和菓子がお好きな方なんだな、と感じます。

京都西陣に位置する「御菓子司 聚洸」

聚洸さんでの花びら餅の販売は1月中旬頃迄。京都に根付いた甘いお雑煮の花びら餅、お正月に京都へいらした際にはぜひご賞味ください。

撮影・構成:下岡広志郎

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お問い合わせ先

御菓子司 聚洸
住所:京都市上京区大宮寺之内上る
電話:075-431-2800
定休日:水曜日、日曜日
*3日前までに要予約

Profile

下岡莉香

しもおかりか 大阪府出身。奈良女子大学卒業後、繊維商社で生地輸出を担当。より活躍できる場を求めて退社後、夫婦で1年5ヵ月44ヵ国世界一周の旅へ。日本文化の奥深さに目覚め、町家一棟貸しの宿kariganeを開業。一児の母。
karigane公式HP:https://rokushou.net/karigane/  Instagram:https://www.instagram.com/karigane.kyoto/?hl=ja

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