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パブリックアートのように、新たな価値を宿す美しき形。「ジュンヤ ワタナベ」2024年秋冬

幾何学的な立体が衣服と同化した「ジュンヤ ワタナベ」の2024年秋冬コレクション。パブリックアートと日常との考察から生まれた、彫刻のような黒い衣服の連続がクラシックな劇場の中で存在感を放った。2024年秋冬パリファッションウィークを現地よりレポート!

パブリックアートを服へ

土曜日の早朝、エリゼ モンマルトル劇場で行われたショー。ここはアールデコのような装飾のあるクラシックな鉄柱が印象的な音楽会場で、過去にはコム・デ・ギャルソンもショーを開催したことがある。

公共の場に設置されるパブリックアートは、気づきや喜び、潤いなど見るものに新しい価値を付加する装置だ。今シーズン、デザイナーの渡辺淳弥は、日常に根付くパブリックアートと服とを融合させることから生まれるコントラストを美しく表現することを試みた。

女性の体に美しく寄り添う形

彫刻的なアプローチから、構築的なフォルムをダイナミックに表現した2024年春夏シーズンでも印象的だった三角形のモチーフ。ファーストルックは、それがふたつの造形物となり、腕に沿って左肩を越えるように突き出し、またもう一方は右肩の延長線上へと伸び、マントのように落ちたグレンチェックの生地が、きれいなドレープを描いている。

立体三角形のシリーズに続き、予想外な形をしたレザーの面で上半身を覆うスタイルが登場する。直線と曲線が混ざった数枚のレザーの重なりが鎧のようにも見え、線の細い女性の体に力強さを与えている。

ショーは徐々に、花柄のドレスの上に傘の骨組みを開いたような、ダイナミックなデザインに。ベルトを何本も組み合わせて体のラインに沿わせたアクセサリーや、スタッズを敷き詰めたパンキッシュな、肩幅の広いボレロのようなデザインも加わる。体を締めるという役割を持つベルトを骨組みとして使ったコートのドレスは気品と存在感を放つなど、どれもがパブリックアートのように新しい価値を宿したコレクションとなった。

text: Mio Koumura

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