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緊急上映広がる。ウクライナの雄大な風景に反戦の思いが募る名画『ひまわり』

ロシアがウクライナに侵攻し、市民を巻き込んだ戦闘が繰り広げられているいま、この映画がにわかに注目を集めている。戦争によって愛する男女が引き裂かれる姿を描き、有名なシーンの撮影地がウクライナであることから、日本各地でリバイバル上映も広がっているという。

ウクライナの国花は侵攻への抗議を訴える象徴に

ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに注目されている名画がある。1970年に公開された『ひまわり』だ。

まず神奈川、大阪、新潟にある3館で緊急上映が決まり、すぐに40館近くまで拡大、その後も全国各地で館数を増やしている。イタリアを代表する往年の名優マルチェロ・マストロヤンニとソフィア・ローレンによる、引き裂かれた夫婦の物語が、なぜ今クローズアップされているのだろうか。

第二次世界大戦下のナポリ。地元の娘ジョバンナ(ローレン)と兵士アントニオ(マストロヤンニ)は海岸で出会い、恋に落ちた。アントニオは決定していたアフリカ戦線行きを遅らせるため、12日間の結婚休暇目当てで結婚する。

結婚式を挙げるジョバンナ(ソフィア・ローレン、写真左)とアントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)。しかしふたりの幸せは長く続かなかった

しかし幸せな日々はあっという間に過ぎていくもの。アントニオを戦地に赴かせたくないジョバンナは、病に罹れば除隊できることを知り、アントニオが心を病んでいることにして入院させるが、すぐに仮病であることが発覚。彼は地獄のロシア戦線に送られることになる。

第二次世界大戦のさなか、ソ連で戦死したと思われたアントニオは……

やがて終戦を迎え、ジョバンナは毎日のように駅に出向いてアントニオの帰りを待つが、いつまでたっても夫の姿を見ることはなかった。そうして数年が経ったある日、アントニオと同じ部隊にいたという男と出会う。消息を訊かれた男は、アントニオを最後に見たのは極寒の雪原で、行き倒れた彼はそのまま亡くなったに違いない、と語った。夫の死を信じられないジョバンナは、自ら探すべくソ連に赴くことを決意する——。

アントニオの行方を追うジョバンナは、イタリア軍が戦闘を繰り広げた地、ウクライナを訪れる。彼女がたどり着いた広大なひまわり畑の下には、故国から遠く離れたこの地で命を落とした兵士たち、そして戦争の犠牲となった無数の市民が眠っているという。

大規模なソ連ロケを敢行した本作。映画史に残るひまわり畑のシーンは、ウクライナの首都キエフから南へ500kmほどにあるヘルソン州で撮影したという

畑いっぱいに広がる膨大な数の粗末な墓標が、戦争の悲惨な現実を物語る。このシーンが撮影されたウクライナのへルソン州は今年2月、侵攻してきたロシア軍によって制圧された。

再びウクライナが戦いの地となった今、反戦の願いを込めて、本作を緊急上映する機運が高まっている。ウクライナの国花であることから、世界中で侵攻への抗議を訴える象徴にもなっているひまわり。この花が踏み躙られている彼の地に思いを馳せたい。

『ひまわり I GIRASOLI』
© 1970 – Compagnia Cinematografica Champion (It) – Films Concordia (Fr) – Surf Film Srl – All rights reserverd.
Blu-ray発売中 ¥4,800(税抜)発売元:WOWOWプラス 販売元:KADOKAWA
Prime Videoチャンネル「シネフィルWOWOWプラス」で配信中


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Profile

香月友里

かづき ゆり。フリーライター。出版社の編集者を経てライターに。同居する5匹の犬猫たちにお仕えしながら、映画とドラマと演劇とJ-POPにどっぷり浸る日々を送る

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