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竹中直人×MEGUMIが語る「生々しくて愛おしい。人間味あふれる名優たち」

「出番ないか?」竹中直人が知る、忌野清志郎のお茶目なエピソード

――初めてラジオで忌野清志郎さんの声を聞いたとき、意外にも「耳障りで嫌な声だな」と思ったことを明かしてくれた竹中さん。その後、憧れの存在だった清志郎さんと竹中さんの交流が深まっていく。

MEGUMI:竹中さんの映画に清志郎さんが出演された話、私すごく好きなんです。

竹中:清志郎さんは僕が何かやっていると、なぜか見ていてくれるというか……。僕が映画を撮っていると、どこからか情報をキャッチして、電話をかけてきてくれるんです。「もしもし? 忌野ですが。竹中、なんか映画の準備をしているらしいじゃないか。出番ないか?」と。

MEGUMI:まさかの逆オファー!?

竹中:そうなんですよ。それで『サヨナラCOLOR』という映画に、僕の同級生役で出ていただいたんですよ。

『サヨナラCOLOR』は、ハナレグミの永積タカシくんがスーパー・バター・ドッグというバンド時代に作った曲『サヨナラCOLOR』からインスパイアされて作った映画なんですけど、音楽から始まった映画だから、たくさんのミュージシャンに出てもらったんです。

病院のシーンがあって、患者として斉藤和義くんや浜崎貴司くん、田島貴男くん、ゆずの北川悠仁くんも出てもらいましたね。もう、そうそうたるミュージシャンがいっぱい出てくれて。

清志郎さんは僕の同級生の役で、同窓会のシーンに出てくださったのですが、僕が実際に卒業した高校で撮影したんです。その次の日に、病院のシーンがあったんですが、清志郎さんが「竹中、病院のシーンも見学したいんだよね」というので、二人で鎌倉プリンスホテルに泊まったんですよ。

次の日、三浦半島にある病院でそのシーンを撮影したんですけど、清志郎さんが見学に来てくれているので、もう僕はうれしくて。全員、自前で寝間着を持ってきてくれて、それで撮影したんですよ。

そしたら、いつの間にか清志郎さんがいなくなっちゃったんです。「気を使って、そっと帰ったのかな」と思っていたら、寝間着に着替えた清志郎さんが「竹中、出番ないか」と言ってきて……。

MEGUMI:かわいい!

竹中:「清志郎さん、昨日同窓会のシーンで出てしまったから、病院のシーンに出ちゃったら、つじつまが合わないです。やっぱり、それは無理です」というと、「そうか、残念だな」と言ってまた撮影が始まるんです。またしばらくすると、「竹中、これでどうだ」って、ちょっと変装してくるんですよ。

「やっぱり清志郎さんだってわかっちゃうから、だめかもしれない……」というと「そうか、残念だな」と言っていなくなるんですけど、またしばらくすると、どこから見つけてきたのか、今度は車椅子に乗ってやってきて「竹中、これでどうだ!」と(笑)。

MEGUMI:すごい、そこまでして……(笑)。

竹中:結局、そこまで言ってくださるから撮影したんですよ。そのあと編集作業に入った時に、どうしても清志郎さんだとわかってしまうので、やっぱり使えないなと思ってカットしちゃったんです。

最終的に完成した映画を清志郎さんが観に来てくださって、「清志郎さん、どうでしたか?」と感想聞いたら、「竹中、あのシーンはカットしたんだな。残念だな」と。

MEGUMI:なんてかわいい方なんでしょうね(笑)。

関連情報
  • 『なんだか今日もダメみたい』(筑摩書房)1,815円


    竹中直人 なんだか今日もダメみたい


    映画、舞台、音楽、テレビを横断する〈表現者・竹中直人〉を紐解く全編書き下ろし自伝的エッセー集。家族や学生時代のエピソードから俳優や音楽家との交流まで。

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