×

齋藤精一氏が語るクリエイティブの現在と未来

日本らしさをクリエイティブで未来につなぐ

話題は、これからの時代のクリエイティブについて続く。

「地域材の例のように、これからのクリエイティブにおいて課題となるのは、日本の資源やデザインをいかに利用できるかということ。長きにわたり、クリエイティブは0から1を生み出す作業だとされてきましたが、いまはもう、新たなものを生み出すフェーズではないと僕は思います。日本には、すでに素晴らしいものがたくさんある。日本らしいデザイン、日本独自の技術が多数存在するなかで、そういった既存のアクションをどれだけ未来につないでいけるか、そこがこれからの時代のクリエイティブの鍵になる」

「日本らしさ」や「日本独自の技術」に着目したきっかけは、かつて自社で、さまざまな国籍の人を対象に行った、“世界でもっともクリエイティブだと思う都市はどこか”というアンケート。正確性を期すため複数回、実施した上で、1位に選ばれたのは日本だったという。

「ファッションやデザインの分野で名高いニューヨークやミラノ、パリ、ロンドンを差し置いて、1位が日本だったんです」

しかし、世界で注目されるクリエイティビティや独自の美意識、技術があるのに、日本人にはそれを積極的にアピールする人がすごく少ない。

「これは別のアンケート結果ですが、“自分のことをクリエイティブな人間だと思うか”という問いに対して、日本人で“はい”と答えた人は全体のわずか22%。ニューヨークやパリだと、約7割の人が“はい”と答えました」

この結果を機に、日本のデザインや技術を世界に広めたいと強く思うようになった。

「具体的なプランとしていま考えているのは、インターネット上のアクションを介してさまざまな国の人をつなぐプラットフォームを作ること。頭で思考するのではなく、主体的にクリエイティブに参加できるような仕組みの構築を目指しています」

齋藤精一氏、TOKYOブランドの再構築

また、齋藤氏は現在、“東京のブランド価値の再構築”にも力を入れる。

「東京は都市開発が進んでいますが、同じような建物が多く、どこも似通ってきている。僕は東京を初めて訪れる人が、この街にはこういう魅力がある、こういうことができる施設がある、というのが一目で分かるようにしたい。さまざまな業種の方と話し合いを重ねながら、そういったプロジェクトも進めています」

クリエイティブの未来はどこへ向かうのか、齋藤氏の挑戦は続く。

Profile

齋藤精一(さいとうせいいち)

クリエイティブディレクター、パノラマティクス主宰
1975年神奈川県生まれ。建築デザインをコロンビア大学建築学科で学び、2000年からニューヨークで活動を開始。03年の越後妻有アートトリエンナーレでアーティストに選出されたのを機に帰国。フリーランスとして活動後、06年株式会社ライゾマティクスを設立。16年から社内の3部門のひとつ「アーキテクチャー部門」を率い、2020年社内組織変更では「パノラマティクス」へと改める。2020年ドバイ万博日本館クリエイティブ・アドバイザー。2025年大阪・関西万博EXPO共創プログラムディレクター。2023年グッドデザイン賞審査委員長。

リンクを
コピーしました