2023年韓国エンタメを代表する必見ドラマはこれだ！

作品賞：「ザ・グローリー　～輝かしき復讐～」

いじめ加害者たちを加害者自身の愚かさの中に沈める、綿密で壮絶な復讐者の物語。

日本でも全16話のエピソードがパート1、パート2と分けて公開され、パート2公開前には「続きが早く観たい」という声も高かった本作。強豪揃いのドラマ部門であったが、多くの予想通りに今年のTV部門最優秀作品賞を受賞した。併せて、主演を務めたソン・ヘギョが最優秀演技賞も受賞し、作品の完成度の高さと話題性を証明した。

本作は高校時代に壮絶ないじめに遭い、人生を狂わされた主人公が、そこから長い時間を掛けて計画し、加害者たちに復讐していく姿が描かれていく。韓国ドラマ特有の細部を描き切る様式のため、視聴が辛くなるようないじめの様子が、パート1の中で多く描かれている。後半では、緻密に練り上げられた主人公の復讐劇が展開するのだが、本作の復讐は直接的な暴力で加害者を懲らしめるものではない。主人公は加害者たち、一人一人の生活背景や志向を丁寧に調査、観察し、彼らそれぞれの愚かさをあぶり出し、加害者自身の愚かさが墓穴を掘り、結果的に自滅していくよう後押しをするような復讐を展開する。まさに天罰が下るように一人、また一人と愚かさに沈む姿は、直接的な暴力による制裁より加害者の罪深さを視聴者にも見せつけているようだ。

重いテーマと壮絶な復讐劇でありながら、被害者である主人公を支える温かい人たちの存在や愛情にかすかな希望を見いだす物語の終着点を、ぜひ一度視聴していただきたいお薦めの作品だ。