【大阪・関西万博】羨望レストランNo.1のサウジアラビア館
2025.9.26
閉幕まで残りわずかとなった大阪・関西万博。かけこみで出かける人やリベンジで再訪する人のために、会場内で狙いを定めて訪れたいさまざまなNo.1をご紹介する。
2025.9.26
閉幕まで残りわずかとなった大阪・関西万博。かけこみで出かける人やリベンジで再訪する人のために、会場内で狙いを定めて訪れたいさまざまなNo.1をご紹介する。
[INDEX]

とにかく予約がとれないことでもSNSで話題になっているサウジアラビア館の「IRTHレストラン」。ここを目指して、再訪する万博ラバーも存在する。開場から5分以内で予約枠が埋まってしまうほどの争奪戦が繰り広げられているが、それでも挑戦してみる価値がある。
レストランはパビリオンの2階にある。石造りの壁に囲まれた階段を上っていくと入り口が現れるドラマティックな演出だが、この階段は俗に“天国への階段”とも呼ばれている。予約枠を手に入れることができた人だけが上がれる雲上のレストランという意味が込められている。

中に入ると、中東のラグジュアリーリゾートへ来たような空間が現れる。天井が高く、異国情緒あふれる香りがゲストを包み込む。

まずはサウジコーヒーで歓迎してくれる。ダッラと呼ばれる伝統的なポットから、フィンジャーンという小さなカップに注がれ供されるスタイル。ゲストの目の前でコーヒーを注ぐ文化は最大のおもてなしの表れだという。
カルダモン、サフラン、グローブを加えて軽く焙煎(ばいせん)したサウジコーヒーは独特な風味。日本の出汁と同じく、家庭によって味わいが異なるそうで、だんらんに欠かせない飲み物となっている。厳格なイスラム教国のため、コミュニケーションもお酒ではなくコーヒー。本格的なサウジコーヒーを一杯いただくだけで、すっかり現地を訪れた気分に。嗅覚と味覚の刺激は、いつでも簡単に時空を超えてしまう。


席はソファー席やテラス席もあるが、運よく空いていればマジョリスと呼ばれているお座敷席へ。靴を脱いで上がるのだが、日本人にはなじみ深く、案外落ち着くものだ。テーブルはなく、トレーからいただく様式も楽しい。

サウジアラビアの食と聞いても、多くの人がピンとこないと思う。ところが意外なことにお米文化で、スパイスの利き方が柔らかいので、日本人好みのものが多い。辛いものが苦手な人もおいしくいただける。メニューにはサウジの13の地域の味が集まっている。

最初にオーダーしたのは「メディニアン・サモサ」。ラマダン期間を中心に食べられる伝統料理で、風味豊かな牛ひき肉と厳選した農場で育てた卵、新鮮なパセリを詰めたひと口サイズの揚げパン。ふんわり軽く、サクッとした歯応えの後にジューシーな肉の味が広がる。添えられているスパイシーなドゥグスソースをつければ、味の深みが増す。

次は古くからサウジの家庭でメインディッシュとして親しまれている「ハップ・スープ」。メッカ地方の伝統料理の一つで、大麦、トマト、ローストボーンマローが溶け込んだ滋味深いスープだ。例えていうなら、サウジ版ミネストローネのような感じなので、日本人の舌には合うはずだ。

お米文化を体験する意味で、「マクトータ」という肉料理もオーダー。タブーク地方の料理の一つで、イードゥ・アル・アドハの朝に提供されていたメイン料理。玉ねぎ、唐辛子とソテーした柔らかなハツとレバーの煮込みを白米と一緒にいただく。香辛料が利いていて、ご飯が進む。

サウジアラビアらしいシェアプレートも頼んでみた。サウジでは大皿を囲んで食べるというスタイルが多い。日本にも「同じ釜の飯を食う」という言葉があるが、この国でも食事を通してコミュニケーションをはかることを大切にしているのが伝わってくる。
「サイヤディーヤ」と呼ばれる魚を丸ごと揚げた料理で、タブーク地方の沿岸地域で金曜日に食されるメニューだ。旬の魚のフライとタマリンド風味のスパイスライスを組み合わせた人気の沿岸料理。ロッカの葉、ネギ、大根、青唐辛子を添えて食べる。タマリンド風味のライスと魚のフライ、野菜を混ぜていただくと、味の複雑さが増し、満足感が高い。

最後はぜひデザートを。三つの味を一つの皿に入れた「サウジトリオ」が人気だ。一つめは、「マクシュシュ」で、焼いた大麦にデーツのシロップとブラックライムのソースをかけたもの。古代アラビアに起源を持ち、中部地方の郷土料理を代表する国民的デザートだ。歴史的価値と栄養価の高さが人気の理由で、中部地方の料理文化とおもてなしの伝統の象徴にもなっている。
二つめは「モハラ」と呼ばれる、ギーという温かいバターオイルをかけた濃厚なデーツのプリン。中部地方発祥の伝統的な冬の料理で、デーツ、全粒粉、ほのかに酸味のあるミルクを使って作られる。かつてはコーヒーと共に朝食として提供され、出産後の女性にも振る舞われた定番の一品だそうだ。
三つめは、マンゴーを添えた真珠のようなサゴプリン「サゴダナ」。サゴヤシの木から抽出された真珠の形をしたでんぷんを使用している。
どれも甘すぎず、体を労るような優しい甘さ。サウジコーヒーやお茶との相性は抜群だ。

お米文化ではあるが、見逃せないのがパン。テイクアウトもでき、それぞれ味わいが異なるので、3種すべて頼んで食べ比べてみては。
3種のパンとは、フェンネルとニゲラシードをトッピングしたデーツと全粒粉の生地に、ホイップしたヤギのチーズを添えたパン「アラフマル・ブレッド」、ゴマをトッピングした、ひよこ豆粉のパン「シュリーク・パン」、アルラディファとハチミツを添えた伝統的な全粒粉パン「ミーファ」だ。
レストランの予約ができなかった場合には、パビリオン見学を終えた出口付近に設けられた「IRTHカフェ」へ。気軽にサウジコーヒーを楽しめ、デーツの自然な甘さを活かしたチョコレートケーキなどのテイクアウトメニューも人気だ。午前中には即完売する幻のクッキー缶もある。

サウジアラビア館はその建築でも注目を集めている。サウジアラビア産の石造りの建物で構成された巨大な迷路のように入り組んだ路地のような設計で、六つの部屋を訪ねてサウジアラビアの文化を知ることができるようになっているのだ。
入り口付近の前庭にはレモンなどのかんきつ農園や壮大な山々、段々畑などサウジアラビアらしい自然の景観を再現している。パビリオンの規模は、日本館に次ぐ第2位。革新性、デザイン、インパクトが認められ、2025 NY Architectural Design Awards のCultural Architecture(文化建築)部門インタラクティブ・体験型空間のカテゴリーで金賞を受賞した。

中庭のサウジ広場では日没後にプロジェクションマッピングのショーが開催されていて、幻想的な雰囲気が高まる。10月13日まではサウジの文化・遺産・芸術を紹介するライブパフォーマンス、ダンス、伝統芸能を開催中。
2025年はサウジアラビアと日本が国交を樹立して70周年にあたるが、日本からサウジアラビアへ観光旅行ができるようになったのは2019年9月からで、まだまだ知られざる国。しかし2029年のアジア冬季競技大会、2034年のFIFAワールドカップなど、今後のサウジアラビアは世界に開けた国になる。
そして2030年の次の万博開催国もサウジアラビアだ。もし貴重な万博の美味体験を一軒にしぼるなら、サウジアラビアに全力投球してみてはいかがだろうか。
photo: Tomoko Hagimoto text: Rica Ogura
【大阪・関西万博】ムーミングッズも! 北欧パビリオンのお土産6選 ムスッとしたムーミンやリサ・ラーソン限定ワインを発見
リンクを
コピーしました