暑い日こそ発酵の力を 清水紫織さんの“火を使わない”醤(ひしお)レシピ
暑い日はなるべく火を使わずに、おいしく体を整えたい。そんなとき頼りになるのが、うまみと栄養がぎゅっと詰まった発酵調味料「醤」。今回は、料理家・清水紫織さんの著書『醤の発酵料理帖』から、火を使わずに仕込めてすぐに食べられるレシピを4品ご紹介。
暑い日はなるべく火を使わずに、おいしく体を整えたい。そんなとき頼りになるのが、うまみと栄養がぎゅっと詰まった発酵調味料「醤」。今回は、料理家・清水紫織さんの著書『醤の発酵料理帖』から、火を使わずに仕込めてすぐに食べられるレシピを4品ご紹介。
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「発酵調味料はなくてはならないものになりました。お料理を美味しく作れる魔法のアイテムなので、これがないと満足できる仕上がりにならないかもしれません」
そう語るのは、発酵料理家の清水紫織さん。
暑くて火を使いたくない日は、野菜にかけるだけ。時間があるときに肉や魚を仕込んでおけば、帰宅後すぐ焼くだけでOK。今回紹介する「しょうゆ醤」や「玉ねぎ醤」は、いつもの調味料と置き換えるだけで味が決まり、体にもやさしい、しかも時短調理までかなうという頼れる調味料なのだ。

そもそも「醤」とは、しょうゆのルーツとも言われる発酵調味料のこと。豆麹と麦麹を合わせた「ひしお麹」に、しょうゆと水、昆布を加えて仕込む。まろやかで奥行きのある味わいが特徴で、そのまま使っても、加熱しても料理全体の印象を引き締めてくれる。
この醤の味わいを支えているひしお麹は、蒸した白米に麹菌を繁殖させる米麹とは異なり、豆麹と麦麹をブレンドして作るのが特徴。大豆由来のたんぱく質と、麦の食物繊維が発酵によってまろやかになり、うまみがしっかり引き出される。
「しょうゆの代わりに使ってみるだけでも十分。食材の味が引き立って、料理が楽しくなりますよ」と清水さん。
冷蔵庫にひと瓶あるだけで、ごはんづくりがぐっとラクに。頑張りすぎない料理が自然とおいしくなる。それが「醤」の力だ。

まろやかでコクがあり、うまみたっぷり。しょうゆ代わりに幅広く使えるので、まずはこのしょうゆ醤を作っておこう。
<材料>
◎作りやすい分量(800mlの保存容器1本分)
ひしお麹…200g
しょうゆ……200ml
水……100ml
昆布……5cm
<作り方>
①清潔な容器に材料をすべて入れる。
②清潔なスプーンで、全体がなじむまでよく混ぜる。ふたをして直射日光を避けて室温におき、1日1回よく混ぜる。暑い時期は7日ほど、寒い時期は最長14日ほどおいて発酵させる。
(水分を吸った麹がふくらんで表面から出ても、毎日混ぜれば発酵が進むにつれしっとりなじむ。水分が足りず混ぜにくい場合は、しょうゆ:水=2:1の割合で追加して調整するとよい)
③麹がやわらかくなり、全体にとろみがつき、甘い香りがしてきたら完成。冷蔵庫に移して保存する。
(保存:冷蔵で6か月、冷凍で7か月ほど)
<ポイント>
「夏場は発酵が早く進むので、しょうゆ醤なら7日、玉ねぎ醤は3日ほどで仕上がることもあります。甘い香りがして、混ぜたときにふわっと軽くなってきたら十分に発酵が進んだサイン。すぐに冷蔵庫に移していただくのがおすすめです。また、夏はヨーグルトメーカーや炊飯器の保温機能を使って24時間で仕上げるのも安心です。40℃設定で24時間、炊飯器の場合はフタを開けたまま保温。どちらも途中で時々混ぜると、よりきれいに仕上がりますよ」

醤とアンチョビをきかせたソースが絶妙。豆腐がイタリアンな前菜に早変わり。
<材料>
◎2人分
絹ごし豆腐……縦1/2丁(150g)
A
ブラックオリーブ(種なし/塩漬け/粗みじん切り)……6粒分
しょうゆ醬……大さじ1/2
アンチョビペースト……小さじ1/2
トマト(6〜7mmの角切り)……1/2個分
オリーブ油……適量
<作り方>
①豆腐はペーパータオルで水けを拭き取り、横1cmの幅に切って器に並べる。
②ボウルにAを入れてよく混ぜ合わせ、①にのせてオリーブ油をかける。
<ポイント>
「冷奴にちょっと飽きてしまったな、というときにおすすめです。しょうゆ醤に加えてアンチョビも発酵食材なので、うまみの重なりが楽しめます。淡白なお豆腐がぐっと満足感のある一品になるので、おつまみにもぴったりですよ」

コンソメのように手軽に使える万能調味料。ペースト状にすることで用途が広がる。
<材料>
◎作りやすい分量(800mlの保存容器1本分)
ひしお麹……130g
玉ねぎ……400g(正味)
※新玉ねぎでも作れるが、玉ねぎの風味やうまみが少ないため、あっさりとした仕上がりになる。
塩……40g
<作り方>
①玉ねぎはざく切りにし、フードプロセッサーに入れてとろとろになるまで攪拌(かくはん)する。
(おろし器ですりおろしてもOK。水分を出すことが大切なので、包丁でみじん切りにするのはNG)
②清潔な容器に材料をすべて入れる。
③清潔なスプーンで、全体がなじむまでよく混ぜる。ふたをして直射日光を避けて室温におき、1日1回よく混ぜる。暑い時期は3~5日、寒い時期は最長7日ほどおいて発酵させる。
④麹がやわらかくなり、コンソメのような香りがしてきたら完成。
⑤ハンドブレンダーでなめらかなペースト状になるまで攪拌し、ふたをして冷蔵庫で保存する。
(保存:冷蔵で4か月、冷凍で5か月ほど)

プレンダーで攪拌するだけのお手軽スープ。だし代わりの玉ねぎ醤とハーブをきかせてさわやかに。
<材料>
◎2人分
トマト……2個
A
玉ねぎ醤……大さじ2
ミックスドライハーブ(またはオレガノやローズマリーなど好みのハーブ)……少々
塩……少々
オリーブ油……少々
バジル(または好みのハーブ)……適量
<作り方>
①トマトはヘタを取って皮つきのままざく切りにする。ボウルに入れてAを加え、ハンドブレンダーでなめらかになるまで攪拌する。塩で味をととのえて冷蔵庫で冷やす。
②器に盛り、オリーブ油を回しかけてバジルをのせる。
<ポイント>
「玉ねぎ醤は、コンソメのようなコクと風味があるので、加えるだけで味が決まります。暑くて食欲がない日にもスッと食べられるので、夏バテ気味のときにぜひ。たっぷり作って冷製パスタに絡めても美味しいですよ」
発酵と聞くと、むずかしそうに感じるかもしれない。でも実は、しょうゆの代わりにかけたり、和えたりするだけで、料理の味に驚くほど深みが出る。
清水さんが発酵食品を意識するようになったきっかけは、お子さんを授かったこと。「食が体をつくる」と実感したことで、発酵を日々の食に取り入れるようになったという。その経験を通して、食材の背景や生産者の想い、環境への配慮にも自然と目が向くようになったそうだ。

そんな清水さんの15年の実践が詰まった『醤の発酵料理帖』には、基本のしょうゆ醤と玉ねぎ醤から展開するアレンジ醤など、全部で16種の発酵調味料やドレッシング、それを活かした71のレシピを収録。和・洋・中問わず応用でき、初心者でも無理なく続けられる工夫が満載。
冷蔵庫にひと瓶あるだけで、台所が少し楽に、少し豊かになる。そんな発酵のある暮らしの入り口に、そっと寄り添ってくれる一冊になってくれるはず。
『醤の発酵料理帖』/撮影: yoshimi スタイリング:鈴石真紀子
text: Tomoko Komiyama
「ひとりディナー」は悲しくない、むしろ開放感がある
「帝国ホテル 京都」祇園に2026年春オープン。インペリアルスイートからは町並みを一望
『醤(ひしお)の発酵料理帖』清水紫織 著 出版社:山と渓谷社 発売日:2025年4月18日 ソフトカバー: 96ページ 定価:1980円(税込) www.amazon.co.jp/dp/4635450864
清水紫織(しみず・しおり)
発酵料理研究家。発酵料理教室「神楽坂発酵美人堂」主宰。日本ソムリエ協会認定ソムリエ。妊娠を機に食と腸内環境の関係に関心を持ち、東京農業大学醸造科学科の科目等履修生として学ぶ。2015年に教室と食品ブランド「神楽坂発酵美人堂」を立ち上げ、これまでに延べ2000人以上を指導。「これなら出来る」をモットーに、丁寧で簡単なレシピが評判を呼び、キャンセル待ちが出るほどの人気に。著書に『はじめてでも、とびきりおいしくなる!発酵料理のきほん』『発酵調味料でつくるからだにいい発酵スープ』(ともに朝日新聞出版)、『“漬けて置く”だけ、おいしく整う発酵食のストックレシピ』(マイナビ出版)などがある。 神楽坂発酵美人堂:https://www.hakko-bijindo.com インスタグラム:@hakko_bijin
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