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山本耀司とサラ・ムーンの「対話」を収めたフォトブック発売。南青山で写真展も開催中

©︎ Sarah Moon

デザイナーの山本耀司と写真家のサラ・ムーン。ファッションの世界でダークロマンチシズムのレジェンドであるふたりは親しい友人であり、共同制作者でもある。このふたりのコラボレーションの軌跡をたどるフォトブック「DIALOGUE Yohji Yamamoto and Sarah Moon」がdelpire & coから出版されたばかりだ。東京のヨウジヤマモト青山本店では6月30日まで、写真作品を展示している。山本耀司の革新的で超越したデザインをサラ・ムーンが切なくもソフトに表現。30年余にわたる信頼と愛情からしか生まれない率直さで、互いを語る。マリ・クレール インターナショナルのデジタル記事よりお届け。

「DIALOGUE Yohji Yamamoto and Sarah Moon」はミニマルな黒のカバーのもと、新たに撮り下ろした作品を中心に構成された45点の写真が収められている。1990年代後半からYohji Yamamotoのコレクションを撮影してきたサラ・ムーンによる山本耀司の肖像写真から始まり、90年代の象徴的なコレクションのイメージへと続く。また、新たに撮り下ろした写真は時にカラー、時にモノクロで、過去5年間のヨウジヤマモト春夏と秋冬コレクションを紹介。作品の紹介にとどまらず、ふたりの長く、深い信頼関係が表現されている本となっている。

Sarah Moon - Yohji Yamamoto Dialogue 2022-2023
©︎ Sarah Moon

おふたりの出会いは? お互いにどう感じましたか?

YY(山本耀司): 天才です。彼女が服の写真を撮ろうとするとき、女性のタイプ、女の子のタイプ、女の子の意味、服の意味、すべてを知っています。また、撮影に強い照明を使わないので、作品を見るのがとても楽しい。現代的なファッション写真であり、アートです。彼女を見たり話したりするたびに、彼女を美しいと思います。何歳であろうと関係ない。私たちは愛し合っています。

SM(サラ・ムーン): 実は彼に会う以前に、雑誌の編集者たちが持ってきてくれた彼の服には会っていました。もちろん、私はその服に感銘を受けました。その後、彼の肖像写真を撮影するために初めて会いました。お互い言葉は少なかったけれど、彼のことをもっと理解することができました。

初対面の印象は?

YY:彼女に飲み込まれそうな気がしました。まるで自分がコップ一杯の水かコカ・コーラ、あるいはただのコーヒーのような気分でした。

SM:最初に会ったのがいつだったか、正確な日付は覚えていません。私は定期的に彼のファッションショーを見に行っていましたが、私の情熱はとどまることを知りませんでした。ヴィム・ヴェンダースが彼を撮った映画(訳者注・「都市とモードのビデオノート」)は、私が彼のパーソナリティーについてもう一歩踏み込むきっかけとなり、彼が創り出す作品が彼の感情と完全に交差しているということがわかりました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
©︎ Sarah Moon

コラボレーションはどのように進化していったのですか。

YY: 彼女のことは知りませんでしたが、写真はずっと見続けていました。たった一度だけ、彼女の展覧会に招待されたことがあります。他のデザイナーの作品の写真がたくさんある中で、彼女は私の大きな服の写真を真ん中に置いてくれた。幸せというほかになかったです。

SM:私は彼がいつも黒を使い、彼女が誰であろうと同じ女性に語りかけながら、毎回違う女性にしていくところが好きです。「まったく違うわけでも、まったく同じわけでもない」とある詩人は言っています。

時が過ぎ、彼はどんなトレンドを追うこともなく、自分のスタイルを貫いています。私たちのコラボレーションはいつも充実しており、彼のイマジネーション、ファンタジー、布の構造、素材、黒への差し色など、すべてが見慣れたテーマのバリエーションでありながら、撮影すると驚きがあり、私を飽きさせません。

Sarah Moon - Fashion 4, Yohji Yamamoto, 1996
©︎ Sarah Moon

サラ・ムーンの服の撮影のしかたは、あなたの仕事に影響を与えていますか?

YY:もちろんです。あの種の暗さが私の心を動かします。そして、とても些細(ささい)なことだけれど重要なのは、彼女の名前が好きだということです。美しい名前、サラ・ムーン。

SM:作品を信頼してくれて、しかも私自身が好きなデザイナーと仕事をする機会を持てるのはとても面白いこと。私は、職人というものはいつも求められる以上のことをすると信じてきました。自身を職人だと思っている私にもあてはまることなのです。おそらくそれが私たちが交わる唯一の手段かもしれません。

サラさんは、ふたりには共通のマントラがあるとおっしゃっていましたね。「スロー・スロー、クイック・クイック(ゆっくり、ゆっくり、急いで、急いで)」。どういう意味ですか?

SM:彼に「一緒にファッションの歴史の一部になろう」と頼まれたとき、私たちのマントラである「スロー・スロー、クイック・クイック」が生まれました。時間を有効に使いたいと思うのと同じくらい、時間に追われていたからです。

おふたりが出会ってから、ファッション業界は大きく変わりました。今はどう感じていますか?

YY:大いなる質問ですね。私は長い間、ダークで汚く、黒い服をデザインしてきました。そして、人々はそれを受け入れてくれました。私にとって、奇跡が起きたような気がしました。もちろん、その奇跡のためには、多くのジャーナリストやバイヤーが私を理解し、ついてこなければなりませんでした。そして今、私はそれを乗り越えるべきか、それともこのまま続けるべきか、とても苦しんでいます。とても大きな疑問が、日に日に重くなるリュックのようにのしかかってきます。冗談ではなく、私のそばにはとても輝いている影がいて、彼女がすべてを国際的にも前進させてくれる。だから、私のミスというだけでなく、私の影のミスでもあるような気がします。

彼女はあなたの影ですか?

YY:ええ。とにかく、I love her。

202302P008 - Yohji Yamamoto
©︎ Sarah Moon

text: Galia Loupan photo: Sarah Moon translation & adaptation: Izumi Miyachi

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関連情報
  • 『DIALOGUE Yohji Yamamoto and Sarah Moon』
    価格:25300円(税込み)
    取り扱い店舗:全国のYohji Yamamoto、Yohji Yamamoto POUR HOMME 直営店舗のほか、公式オンラインストア(https://theshopyohjiyamamoto.jp/


    『DIALOGUE Yohji Yamamoto and Sarah Moon』写真展示
    期間:6月6日(金)~6月30日(月)
    住所:ヨウジヤマモト青山本店(東京都港区南青山5-3-6)
    電話:03-3409-6006
    営業時間:11:00~20:00

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