ニコール・キッドマンが新境地に挑む。女性監督との絆によって生まれた『ベイビーガール』
2025.3.27

40年以上にわたるキャリアのなかで、100作品以上に出演してきた俳優ニコール・キッドマン。『ムーラン・ルージュ』や『めぐりあう時間たち』『LION/ライオン ~25年目のただいま~』など、代表作を挙げればきりがない。様々なジャンルに挑み続けるなか、新境地を切り開いた話題作『ベイビーガール』について打ち明ける。
2025.3.27

40年以上にわたるキャリアのなかで、100作品以上に出演してきた俳優ニコール・キッドマン。『ムーラン・ルージュ』や『めぐりあう時間たち』『LION/ライオン ~25年目のただいま~』など、代表作を挙げればきりがない。様々なジャンルに挑み続けるなか、新境地を切り開いた話題作『ベイビーガール』について打ち明ける。

映画界を刺激する斬新な作品を放つ新進気鋭のスタジオA24とタッグを組み、話題を呼んでいる俳優ニコール・キッドマン。主演を務めた最新作『ベイビーガール』では、家庭も仕事も完璧な女性CEOのロミーが、インターンとしてやってきた青年によって秘めた欲望をかき乱されていく様子を大胆に演じている。本作は「A24史上、最高に挑発的な一本」との呼び声も高いが、ニコールも「自分にとって間違いなく新しい領域の作品。このような性のあり方に触れたことはない」と告白しているほどだ。
「私にとっては、女性としても、役者としても真剣に向き合わざるを得なかったから、この作品はとても生々しかったわ。『同意とは?』『力とは何か』と、自分が望んでいるものを問いかけてもいたけれど、これまでの映画ではこういったことは女性の視線を通して探究されていなかったものなのよ」

この作品のことを「感情と性欲の長い旅」と評しているニコールは、女性の性的欲望と結びつきがちな羞恥心を取り除くように促しているハリナ・ライン監督の思いにも共鳴する。
「ロミーは夫を満足させるために自分を偽っていたけれど、ある時点で彼女は『これ以上は続けられない』と思ったのよ。なぜなら『このまま一生、自分が実際に望むものを手に入れることはできないのだろうか?』とロミーは考えたから。これはどの性別の人でも、どんなときでも共感できるはず。そんな欲望を持ってしまうのは、私たちが人間だからよ。ロミーは自分にとても厳しい人だけど、ハリナはそんな彼女に『もっと楽にしていいのよ』と言っている。女性たちだけでなく、世の中の人々を“演技すること”から解放しようとしているのよ」

ニコールはこれまでにアカデミー賞をはじめ、ゴールデングローブ賞やエミー賞など、数々の賞を手にしているが、本作では圧巻の演技でヴェネチア国際映画祭の最優秀女優賞に輝いた。近年はプロデューサー業にも積極的に従事しているが、定期的に女性監督と仕事をすることを宣言しているほど、女性の地位向上と後進育成にも力を注いでいる。本作が誕生したきっかけも、ハリナの監督デビュー作品『Instinct』に深い感銘を受けたニコールが、自らハリナの元を訪ね、一緒にできるプロジェクトはないかと話を持ち掛けたところから始まったという。
「自分がプロデューサーになることで実現しなかったかもしれない企画の手助けができることは、私にとってワクワクすること。それによって監督や脚本家は自分の場所を見つけることができるようになるし、彼らの声を届けるチャンスにもなるわよね。私はほかの人が輝くためなら小さな役でも演じるわ。そんなふうに誰かをサポートするのも大好きなんだけど、それこそが後続の人たちと私が繋がっていく方法よ。私自身、困難なときに何度もそういった支援を受けたことがあるから、いまの私が他の誰かの役に立てる存在になれていることには驚くばかりね」
そんなニコールの功績が認められ、2024年にはハリウッドのレジェンドたちに贈られるアメリカ映画協会生涯功労賞をオーストラリア人として初めて受賞する快挙を成し遂げた。さまざまな経験をしてきた彼女だからこそ、伝えたい思いがある。


NYでCEOとして、大成功を収めるロミー(ニコール・キッドマン)。舞台演出家の優しい夫(アントニオ・バンデラス)と子供たちと、誰もが憧れる暮らしを送っていた。ある時、ロミーは1人のインターン、サミュエル(ハリス・ディキンソン)から目が離せなくなる。ロミーの中に眠る欲望を見抜き、きわどい挑発を仕掛けてくる。行き過ぎた駆け引きをやめさせるために彼に会いに行くが、逆に主導権を握られてしまう。
「一番シンプルに言うと、『愛のあるところへ行きなさい』という表現になるかしら。でも、それは不快感や苦しみがないとか、挑戦をしなくてもいいという意味ではなくて、『自分の才能を守ってくれる人々と一緒にいる』ということよ。以前の私はその言葉の意味を理解していなかったけれど、いまではそういったことを若い人々にいつも言うようにしているわ」
第一線を走りながら、進化し続けるニコール。『ベイビーガール』で魅せる生き様は私たちの中に眠る“欲望”を目覚めさせるに違いない。
『ベイビーガール』
3月28日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
原題:Babygirl
監督/脚本:ハリナ・ライン
出演:ニコール・キッドマン、ハリス・ディキンソン、アントニオ・バンデラス、ソフィー・ワイルド
配給:ハピネットファントム・スタジオ
公式HP:https://happinet-phantom.com/babygirl/
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【雑誌『marie claire』のPDFマガジンダウンロードページ】
©︎marie claire/interview: Alexandra English / translation: Tomoko Kawakami / text: Masami Shimura
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